2018年6月19日火曜日

個性を極めたデュオトーン文字盤のデラックス


拘りぬいたデザインをまとめ上げたセンスあふれるデラックス

デラックスのコンセプトであるトラディショナルなデザイン要素を多数取り入れ、なおかつ全体にまとまりのある落ち着いた気品を感じさせる秀逸な仕上がり。ベストセラーにはなりえなかった隠れた名作と呼ぶにふさわしいモデルが、まさにこのデラックスと言えるでしょう。加えて使い込まれたヴィンテージの風格がさらなる魅力を生んでいます。

一見、複雑に見える文字盤のデザイン。味のある書体のアラビア数字は良く見ると、3時から4時へ、そして8時から9時でその向きを180度入れ替えています。デュオトーンのホワイト部分にはうっすらと地紋が入り、ブラック部分との境界線には金メッキが施されています。さらに6時の位置にはスモールセコンド文字盤があり、ルミナス(夜光塗料)が長短針とインデックスに施されています。それらが高い次元でバランスしているデザインは秀逸と言えるでしょう。

個性が強いだけに、この時計を着こなすのには、それなりのファッション・センスが要求されるでしょうが、このデラックスを着こなしの中心に置き、全体を組み立てて行くとうのも、極めて趣味性の高いコーディネイトとなることでしょう。




ここまで拡大すると針の細部の造形や、デュオトーン・ダイアルのボーダーライン外側に配置された円形と三角形のドットの周囲に黒い縁取りがあるなど、細部にまで拘った仕上げを施していることが分かります。




ケースのあらゆる箇所には使い込まれた証が刻まれておりこの個体特有の存在感や美しく愛おしい佇まいとなっています。レンズとベルトは新品交換されており、新たなオーナーの方には気持ちよくご使用いただけるでしょう。




このデラックスに限っては、あえて竜頭は交換しておりません。摩耗とキズはございますが、全体の雰囲気の良さをだいじにするという選択肢を選んでいます。また、充分に実用に使える操作性を保っています。





こちらは裏蓋の写真ですが、とても個性的な2ピースのスクリュウ式が採用されています。ウォータープルーフの記載はないため日常的なダストプルーフをふまえてのケース構造と言えるでしょう。





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2018年6月18日月曜日

1965年の金無垢ブルースチール・デラックス


金無垢、スモセコ、そして、ブルースチールハンズ

1950年代末期から1960年代中期にかけて生産されていたこのデラックス・モデルはその時期により様々なマイナーチェンジが行われていたとはいえ、一貫して、金無垢、スモセコ、そして、ブルースチールハンズは共通の魅力として引き継がれていました。さらに、このトラディショナルで安定した人気を得ている要素としてゴシック体のアラビア数字を忘れることは出来ないでしょう。特にこの最終バージョンに関しては、アラビア数字にまで光が当たるとブルーに輝く表面加工が施されていることは特筆に値することでしょう

光を文字盤の正面に受けなければ、3針、アラビア数字共に黒く落ち着いた表情を保つこのモデルは、基本に忠実な伝統的でスミスらしいデザインが与えられています。まさにスミス・デラックスの代表的な魅力溢れるモデルと言えるでしょう。




外径30.8mmというメンズ・ウォッチとしては小ぶりなデラックス。現代の時計のように大きい方が魅力が増すといった考え方は微塵もなく、逆に小さいことにこそ、精密さや、技術力を感じさせてくれる、腕時計本来の小宇宙といった概念や神秘的な魅力を表現した結果と言えるでしょう。



最も光を受けた11~1時のアラビア数字がわずかに青く光を放っているのが分かるでしょう。それに加えて見事なメタリック・ブルーに美しく輝く3針は見事としか言えないこのデラックスの個性です。鉄の針を焼き入れして、この均一な青色を作り出すとは、当時の高い技術力に感心させられます。


レンズとベルト、そして竜頭はオーバーホール時に新品交換されています。使用頻度が少なかったとはいえ、これらの消耗品は経年により、レンズは縮み、ベルトは草臥れ、そして、竜頭はエッジが丸くなり巻き辛くなっていました。新たなオーナーの方は、気持ちよくお使いいただけることでしょう。


スモールセコンドの下には繊細な書体でプリントされたMADE IN ENGLANDの文字が誇らしく鎮座しています。これは、ウェールズ製の廉価モデルではなく、イングランド、チェルトナム工場でコストをかけて生産された証です。




多くのスミス社製金時計がそうであるように、9金無垢ケースの裏蓋には、プレゼンテーション・ウォッチの証であるイングレーヴィングが施されています。この個体には英国の国鉄が41年間務めた社員へ贈った品であることが刻印されており、このアイテムの大きな魅力となっています。



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ルミナス仕様のSSケース1215モデル


ステンレス・スチールの1215(トゥウェルブ・フィフティーン)

戦後初期に登場した純英国製の1215モデルは、スミス社が独自に開発した初のMADE IN ENGLANDのムーブメントが搭載されています。初期モデルということで、不具合の出る部分も多く、状態の良い初期の1215は極めて少ないと言えるでしょう。そんな中、この個体は、オイルとグリースの管理が良かったためか、使用感のある外観とは裏腹に極めて良好な精度を保っています。


1940年代の1215は、そのほとんどが金無垢やクロームメッキ、または、金メッキのファンシーラグの3ピースケースに搭載されていますが、このモデルはオーソドックスなデザインのSS製デニソンケースが採用されており、極めてレアなモデルと言えます。SSケースは硬質なイメージがありますが、ラグのデザインなどで、とても温かみのある印象を与えるモデルです。



また、1215の特徴であるアルミの地肌を活かした文字盤とブルースチールの長短針には、共にルミナス(夜光塗料)が施され、趣き深いデザインとなっています。ケースには使用キズが見られ、日常的に使用されていた個体であることが分かります。正しく使い込まれた道具だけが持つ、美しさが各部に宿っています!






長針の先端は文字盤側に湾曲しており、レンズのカーブに合わせた繊細な形状。そして、文字盤のアラビア数字はルミナスで色づけられた部分を囲むようにブラックの縁取りが施され、実際は平面的なプリントですが立体的に見えるデザインとなっています。



スモールセコンドの下に微かにMADE IN ENGLANDの文字がプリントされています。インデックスのラインも極めて繊細なラインにより形成されています。シンプルですっきりとしたデザインである反面、デリケートで繊細な面を持ち合わせた魅力的なモデルです。






竜頭は防水効果を目的としたものではありませんが、気持ち程度の防塵対策と言える二重構造です。また、サイズが少々大き目で巻きやすいデザインと言えます。巻上げの際には手になじみ、愛着の持てる形状であることが指に伝わってきます。






ステンレス・スチール製の裏蓋にはいくつかの浸食された痕が見られますが、ヴィンテージウォッチらしい風格と約70年間の年輪を感じさせるエイジングです。







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