2019年3月30日土曜日

表情を変える盤面


デュオトーン文字盤の魅力

1950年代より1960年代半ばまで生産されていた、このデュオトーン文字盤は、ブルースチール・ハンズやライン・ダイヤルと並び、デラックスの中でも人気トップ3に入る定番モデルと言えるでしょう。人気があるのには、もちろん理由があるわけで、この、ふたつの異なった質感を持つ文字盤は、光の当たり方で、それぞれの明暗が入れ替わります。そんな奥深い魅力を秘めているところに人気の理由が隠されているのです。

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■通常はセンターが明るく見えます
強い光が文字盤に当たらない状態ではマット調ホワイトのセンター部分とスモセコ文字盤は外側のシルバー部分よりも明るく見えます。





■光が当たると明暗が反転!
そんなデュオトーンの盤面に強い光を当てると、右の写真のようにセンター部分が外側よりも暗く見えるように変化します。







■デュオトーンがモノトーンに…
さらに、光の当たり方を微妙に調節して行くと、デュオトーンの文字盤はモノトーンに近づく瞬間が…。







■光の当たり方で表情は変わり続けます!
これらの表情の変化は中央のマット調のホワイト部分が反射押える効果があり、周囲のメタリック調のグレーが反射する素材であることを巧みに利用したデザインの技と言えるでしょう。





■6時の位置のスモセコ
デュオトーンのデラックスにはスモールセコンド文字盤とセンターセコンド文字盤の二種類がありますが、デュオトーンの仕組みは共通です。お好みで選んでいただければ良いのですが、中には両方をお持ちの方も!使ってみないと分からないデュオトーンの魅力をご体感ください。




■エレガントなラグのデザイン
このモデルには3ピースのBWC社製、9金無垢ケースが採用されています。大きな魅力としては、このボリューム感のある、頑強にしてエレガントな曲線美を持つラグのデザイをあげることが出来るでしょう。





■エッジの効いた凝ったデザイン
この美しい曲線が魅力のラグのデザイン、実はエッジ部分は直線的な鋭い加工が施されベゼルのシャープなデザインとの絶妙な調和が、さらなる魅力を作り上げています。





■シンプルかつ美しい裏蓋
また、このモデルの裏蓋はベゼル同様にエッジの効いたテーパー加工が施されており刻印の無いシンプルな表面とラグ先端の潔いフィニッシュと共にシャープで洗練された印象を与えています。





■ケース、サイドの刻印
竜頭側のケース、サイドには「.375」の刻印があります。これは純金が24金であることに対して9金が、その37.5%であることを示しています。






■裏蓋の内側には様々なホールマークが
裏蓋を開けると、その内側にはケースメーカー名の「BWC」の他、金の含有量を示す「9」と「.375」そして、製造年が1963年であることを示す、イヤーマークなどが刻印されています。





■ムーブメントはショックプルーフ付
このモデルは1963年式であることで、主に1960年代のモデルに採用されているショックプルーフ機能付きの15石ムーブメントが搭載されています。振り子の軸受に見える十字架のような部分がスプリングとなっておりショックを吸収し、落下などの際に軸の損傷を抑えてくれます。実用性における大きな進化と言えるでしょう。







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2019年3月9日土曜日

稀少性の高い黒文字盤のスミス・デラックス


極めて状態の良い黒文字盤のデラックス

スミスの腕時計の中では、とてもバリエーションの少ない黒文字盤。そんな稀少性の高いブラック・ダイアルのデラックス。黒は光の吸収が良いことから表面のエイジングが進みやすいのも事実。そんな中で、今回のブラック・ダイアル・デラックスは特に文字盤の状態が良い個体です。状態の良い黒文字盤デラックスをお探しの方はお早めに!

■状態の良い黒文字盤
微かなエイジングはあるものの、ブラックダイヤルとしては異例に良い状態を保った個体です。金メッキのインデックスや針の状態も素晴らしいものです。秒針の先端には美しいキャンディー塗装のレッドアローが!





■全てにおいて美しいの一言
金メッキのケースには微細な使用キズがわずかにありますが、概ね美しい状態を保っており、レンズ及びベルトは新品が装着されています。レンズは当時、割れないガラスと称されていたアクリル製で、オリジナルのレンズは長年の寒暖差により伸縮を繰り返し外径の縮小、そして表面にクモの巣のような無数のクラックが入ることがほとんどです。破損や脱落の危険があるため無条件に新品交換しています。


■秒針の先端にはレッドアローが!
スミスのセンターセコンド・モデルには秒針の先端に赤い飾りが付いていることが多く、このデラックスの場合はキャンディー塗装が施されたレッドアローが視認性とデザイン性の両方の観点から採用されています。透明感のあるレッドアローはまるでルビーのようで、これもまたスミスらしい個性と言えるでしょう。


■スミスのカタログナンバーA.358
金メッキケースのブラックダイヤルのこのモデルは、品番A.358として当時のカタログや、雑誌広告などに掲載されていました。このイラストから、当時エキスパンダ式のブレスレットが流行っていたことが分かります。当時モノの在庫もございますので、ご希望の方はお問い合わせフォームからどうぞ!また、品番のAはメンズを表しています。



■漫画家デビッド・ランドンもスミスを愛用!
英国で有名な漫画家デビッド・ランドンがスミスを愛用していたことで雑誌広告に登場!実際に腕に着けていたのはホワイト・ダイヤルのスミス・デラックスだったようですが、A.358の広告に使われていました。


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1215「テゥエルブ・フィフティーン」本来の性能


戦後初のスミス高性能腕時計1215のクウォリティー

1910年代よりスミスは、スイスのロンジン社に依頼して腕時計の生産を行い、主にロンドンのストランドにあった本社ショールームでミリタリー・ユースを主眼にしたトレンチ・ウォッチを販売していました。その優れた精度と耐久性は、ロンジン社が生産を行っていたことから、今さら記述する必要はないでしょう。そして、戦後、スミス社は独自の工場で生産した英国製のムーブメント搭載の製品の発売を試みました。その腕時計が今回紹介するジャガー・ルクルト社の技術者を招き入れ設計した1215「テゥェルブ・フィフティーン」です。その生産は英国のチェルトナムに建設されたスミス社のチェルトナム工場で行われ、それまでのSwiss madeに代わり誇らしくMade in Englandと文字盤やムーブメントに記載されるようになりました。

■戦後初のスミス高性能腕時計         質実剛健を形にしたような1215モデル。そのシンプルで飾り気のない、しかし美しいデザインは、ある意味最もスミスらしい腕時計と言えるかもしれません。ニッケル無垢のベゼルとケース本体は表面の一部を梨地に、そしてベゼルとラグの表面及び側面をポリッシュ加工とした、手の込んだ処理が施されています。

■機能性を重んじたデザイン          サイド・ビューに目を向けると、なだらかな美しい曲線で構成された造形は、あくまで機能性に裏付けられたシンプルなデザインで、そこには本当に必要なものだけで築き上げられたデザインの美学を感じ取ることが出来るはずです。また、良く見るとラグのバネ棒取り付け穴も貫通していません。美しさを拘りぬいた結果と言えるでしょう。

■自社製のニッケル無垢ケースケース      裏蓋を開けるとMade in Englandとステンレス製の裏蓋である表記が刻印されています。ステンレスの裏蓋以外のベゼル及びケース本体は、ニッケル無垢製で、ケースメーカーの刻印が無いことから、恐らくスミス自社製のケースであると考えられます。スミス社は戦前にも、極めてクウォリティーの高い自社製ケースを生産していました。

■1215の名前の由来              モデル名である1215はこの美しいニッケルメッキのムーブメントに由来しています。12はムーブメントの直径を表す単位(ライン)で表記すると12となり、15はムーブメントに使用されたルビーの数である15石を表しています。

■1215は正規の名称              当時の雑誌広告やカタログを見ると1215の名前が使われており、文字盤には1215の記載がないものの、正規の名称であったことが分かります。

■様々な1215の存在             1215モデルにはケースや文字盤、そして針のデザインの差によって様々なバリエーションが存在していました。しかしながら、その基本コンセプトは統一されており、一言で言ってしまうと「シンプル」という言葉が最も適切であると言えるでしょう。ラグジュアリー・ブランドのエルメスや英国の老舗ジュエラーJ.W.ベンソンから生産を依頼されたのもこの時代です。

■極めて小さなスモセコも魅力         1215の共通するデザインに、この小さなスモセコを上げることが出来るでしょう。この時代にはセンター・セコンドは存在していませんが、時計のムーブメントの構造上、最もシンプルにセコンド・ダイアルを配置すると必然的にこの6時の位置になると言ことからスモセコであることも1215のデザイン・コンセプトに合致する要素と言えます。


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