2022年4月14日木曜日

 

スミス専任時計師のウォッチギャラリー・ビッグベアー店主、大熊 康夫のブログ

~時計師の仕事場 #0008~

■ 稀少性の高いキャラメル・パターン・デラックスを甦らせる ■ 




「外観の美しさとは裏腹にムーブメントに問題が」

英国より、個体数の少ない「キャラメル・パターン文字盤」のデラックスが入荷しました。

ところが、外観は良好な状態でしたが、ムーブメントに錆が発生しており、一部の部品交換を行うだけでは、修復が難しい状態でした。

そこで、この状態の良い稀少なモデルを救うために、1960年代に製造されたデッドストックのムーブメントに載せ替えることで甦らせることが出来ました。






「スミスは、ムーブメントのアッセンブリーを供給」

当時、スミスは補修部品のひとつとして、ムーブメントのアッセンブリーを、時計店へ供給していました。

1960年代の半ばまでは、上の写真のように金属製のケースに入った状態でデリバリーされていましが、その後は、プラスチックの半透明ケースに変わっています。

そのため、今回のデラックスのように、錆の程度がひどいものは、個々の部品を交換するのではなく、ムーブメントをアッセンブリー交換することが可能でした。

そこで、この稀少なモデルを救ために、1960年代に製造されたデッドストック・ムーブメントの登場となるわけです。







「すべてが新品パーツで構成されているムーブメント」

デッドストックのムーブメントは、現在では、簡単に入手することは出来ませんが、20年ほど前よりデッドストック・パーツの収集に力を注いできたビッグベアーでは、様々な部品を在庫しており、常に完璧な修理を行える環境を整えています。

ただ、デッドストックのムーブメントは、すべての部品が新品パーツで構成されてはいるものの、当然、油脂類は硬化し、スプリングなどの経年による金属疲労は避けられません。







「スプリング類の交換を含むオーバーホール」

今回のデラックスには、デッドストック・ムーブメントを搭載いたしましたが、他のスミス同様に、すべてを分解しスプリング類などの経年による金属疲労を抱えている可能性のある部品の交換を含めた、スミス専門店ならではのオーバーホールを行っています。

さらに、1960年代のチラネジの付かない、ショックプルーフ付きムーブメントを搭載したことにより、精度と安定性、そして、耐衝撃性の飛躍的な向上を実現しています。






「美しさを保ち続けた文字盤」

新品のムーブメントとカップリングされる文字盤は、極めて軽度なエイジングのみのとても美しい状態を保っており、キャラメル・パターンの魅力を存分にご堪能いただけるコンディションと言えます。






「わずかなエイジングのみの雰囲気あるケース」

クロームメッキのケースは、ラグのエッジ部分にメッキの擦れが見られますが、全体的には、とても良い状態を保っており、大切に使われて来たヴィンテージ・ウォッチとしての魅力を感じられる佇まいであると言えます。





見事に甦ったデラックスをご堪能いただけたら幸いです

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