2017年10月29日日曜日

徹底的に使い込まれ愛されたスミス・デラックス


■長年、使い込まれた機械だけが手に入れることの出来る美しさ

1960年代に生まれ、実用品として使い込まれてきたこのスミス・デラックス。本来の艶のあるクロームメッキのケースの表面は、幾多の戦歴によりざらついた表情を見せる。頑強な真鍮製のケース本体にはいくつかのやや深めの損傷も見受けられる。しかし、ケースとしての機能は全く失われておらず、四本のラグは、しっかりとベルトを固定し腕時計のボディーとしての役目を果たし続けている。そして、文字盤も針も表面的なエイジングを見せてはいるものの、やはり、まだまだ、何十年も時を刻み続けてゆく逞しさを感じ取れる佇まいが美しい。デッドストックや新品同様のヴィンテージウォッチは、それはそれで、魅力的なアイテムと言える。しかし、ここまで正しく、そして、遠慮なしに使い込まれ、しかも適切な整備が施されてきた機械式時計には、そう簡単に巡り合うことはできない。これもまたひとつの美しさと言えるのだろう。格好良いのである。


■夜光塗料がヴィンテージらしさに味を加える

このデラックス、良く見ると長短針とアラビア数字のインデックスに夜光塗料が施されている。当時は暗い場所でも時刻を知ることが出来た便利機能であったが、現在は残念ながら効力が失われている。しかし、デザイン性は失われていない。






■驚異的な美しさのムーブメント

長年、使用されて来たとは言え、クロームメッキのケースの表面がここまでエイジングすることは、そう簡単なことではない。そんな過酷な使用頻度とは裏腹に内部に包み込まれたムーブメントの美しさは驚異的と言っても過言ではない。一体、幾度、時計師の手により分解されたのだろうか?








■防塵、防水機能の効果は大きい

このケース、実はロレックスやオメガも当時採用していた英国の名門ケースメーカー、デニソン社のアクアタイトという防塵、防水機能付きの優れた製品なのだ。裏蓋はスクリュー式で竜頭は二重構造。外観とは裏腹に内部のムーブメントの状態が保たれていた理由がここにある。







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