2019年1月20日日曜日

ロンドンの老舗ブランド、アスプレイの美学


ロンドンの老舗ブランド、アスプレイの美学

アスプレイは、今でも英国ロンドンのニュー・ボンド・ストリートに構えるウィリアム・アスプレイにより1781年創業の老舗ジュエラーです。アスプレイ・ブランドの貴金属の他、フルオーダーによる、別注品の製作にも力を入れ、独自の工房を持つことでも知られています。モノづくりに注ぎこまれた、伝統により築き上げられた気品、そして、最上級の品質へのこだわりとが、アスプレイの美学と言えるでしょう。今回は1950年代にスミス社が手掛けた英国の名品アスプレイの腕時計を取り上げます。



■アスプレイであることの証
イタリックの筆記体文字のロゴには、単に美しいだけではなく、長い歴史を背負って長年のあいだ使い続けれらた伝統に裏付けられた、最高品質のものにだけ冠することのできる証としての意味があります。そして、盤面に刻まれた曲線と直線とのハーモニーは、その内面に秘めた美しさの象徴といえるでしょう。※1950年代のロゴは現在の物とは異なります。




デニソン・ケースであるということ
9金無垢ケースには、アクアタイトと呼ばれる英国の名門デニソン社製の防水機能を備えた当時の最高品質モデルが採用されています。袋状の竜頭は、その美しさと機能性とを兼ね備えた一流品です。人の手が触れるパーツだけに、心地よい感触を生むデザインには最大級の心配りが感じられます。



■機能性から生まれた造形美
このアスプレイに使用されているデニソン社製防水ケースの裏蓋には、六つの独特の窪みが形造られています。この金無垢ケースは防水性を高めるために、裏蓋がネジ式となっており、開閉の際に工具を固定させるための溝の役割を果たしているのです。この形状にするために、また、ネジの溝を施すためには通常の金無垢ケースよりも遥かに厚みを増やさなければならず、結果的にヘビー・ウェイトケースとなっています。また、裏蓋の刻印にあるように、この時計は長年の勤続の証として、スティートリー社より社員へ贈られたものです。恐らく受け取った社員は、金無垢時計の重量感に、そして、裏蓋の美しい刻印と、当時、最先端であった防水ケースの造形に心躍らせたに違いありません。


■隅々にまで及ぶ上質
ムーブメントに目を向けると、そこにもアスプレイならではのこだわりを感じることが出来ます。1958年というと、スミス社のハイクウォリティー・モデルであっても、ほとんどの時計には写真のようなショックプルーフ機構が採用されてはいませんでした。十字架の形のスプリングで軸受の一部を受け止める耐衝撃機構もアスプレの高品質へのプライドと言えるでしょう。

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