2023年10月27日金曜日

スミス専任時計師の

ウォッチギャラリー・ビッグベアー店主
大熊 康夫のブログ

美しさで選ぶ③

「デュオトーンにおける孤高の存在」
拘りぬいたケース材質とデザイン


どことなく異なる、凛とした佇まいの理由

一見するとスタンダードなデュオトーン文字盤のデラックスと思われがちなこのモデル。

実はこのモデル、ステンレス・スチールをベースにしたゴールド・プレーテッド・ケースが採用された、とてもレアなデラックスなのです。

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孤高の材質感と美しい造形に酔いしれる

デュオトーン文字盤の魅力はスタンダード・モデルと変わりませんが、このデラックスは、他とケースの材質と造形がまったく異なります。

スタンダードのデュオトーンは真鍮にゴールド・プレーテッドもしくはクローム・プレーテッドが施されていますが、このモデルはステンレスのベースメタルにゴールド・プレーテッドが施されているため、引き締まった硬質な印象をその造形に感じられ、また、使い込むほどに独自の質感を醸しだします。

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ステンレスにゴールド・プレーテッドならではの表情

このモデルはステンレス・スチール+ゴールド・プレーテッドというイレギュラーな組み合わせが採用されていることでケースの印象が他と大きく異なります。

使用することで変化してゆく味わい深い表情は、真鍮ベースのケースにはない独自の質感といえ、当時、スミス社のこのモデルへ対する深い拘りであったと感じられます。
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プレゼンテーションであったからこその美しいコンディション

この個体の裏蓋には美しく刻まれたイングレーヴィングがあり、このことからプレゼンテーション・ウォッチであったことが分かります。

プレゼンテーション・ウォッチは退職時などに記念品として長年勤めた会社から贈られる時計で、使用頻度をひかえ、大切に使われていたケースが多く、この個体のような素晴らしいコンディションが保たれていたという訳です。

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この時代には珍しいショックプルーフ機構が搭載された振り子

裏蓋の刻印から、このデラックスが製造されたのは1956年以前と考えられますが、この時代にショックプルーフ付きの振り子が搭載されているのは極めて珍しいことです。

振り子にはチラネジが見られますので、1960年代初期以前の振り子であることが分かりますが、文字盤には「shockproof」の文字がないため、実験的に製品に導入された個体であったとも考えられます

ヒストリーは不明ですが、最初期のチラネジ付き振り子とショックプルーフのコンビネーションは見た目の違和感がない上、実用にはありがたい機能といえます。

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外観の美しさ同様にムーブメントもミントコンディション

使用頻度が極めて少なかったこのデラックスのムーブメントを分解してみると状態は極めて良いものでした。

とはいえ、消耗品であるスプリング類は新品交換を行い、工場出荷時の状態に仕上げていますので1950年代にタイム・ワープしたような気持でご使用いただけます。

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