2023年2月3日金曜日

 スミス専任時計師のウォッチギャラリー・ビッグベアー店主、大熊 康夫のブログ

「知って欲しい、真の魅力」

~機械式・手巻き腕時計の世界~


時を刻むメカニズムの美しさと心地よいリズム


機械式の時計には、必ず、時を刻むための振り子が備わっており、そこに至るまでの道筋となる、幾つものギアと共に、剛性と精密さとを兼ね備えた、内に秘めた機能美を造り上げています。

また、振り子の反復運動から生まれる、時計本来のチクタク音は、金属音でありながら心に響く繊細なリズムとなって心地よく耳に届きます。





滑らかに動き続ける秒針の意味


一般に、数多く使用されているクウォーツ式の時計は、ステップ運針と言われる一秒ごとに秒針が動くため、一瞬時間が止まっているように見えます。

一方、機械式の時計は、休むことなく動作しているため、秒針はスイープ運針とい言われ、滑らかに途切れなく進んでいるように見えるのです。

私たちの生活中での時の概念は、止まることなく進み続けますので、機械式の方が本来の時を示す道具としては、理にかなっていると言えるのです。





伝統的な技術と工作精度の進化が集積されたメカニズム


ゼンマイが、スムーズに反復運動するための要となるのが髪の毛ほどの細さの螺旋状に巻かれたヒゲゼンマイです。

そして、ゼンマイの軸の先端は、高い精度を生み出すために、髪の毛よりもはるかに細く極めて高精細に作られています。

スミス社が創業した1851年には、すでに、機械式時計の基本設計は確立されていましたが、その当時には腕時計はなく懐中時計のみの時代でした。

つまり、1970年代に至る機械式時計の小型化と高精度を目指した進化の歴史は、正に、スミスの歴史と共にあり、その結果完成されたメカニズムは、究極の手巻きムーブメントであると言えます。






修理可能であることは、長く使えるということ


すでに生産されてから半世紀以上が経過しているスミスの機械式手巻腕時計。

スミス専門店、ウォッチギャラリー・ビッグベアーで徹底的なメンテナンスを受けたスミスは、多くの部品交換と共に、工場出荷時の品質にリセットされています。

そして、定期的なオーバーホール(分解掃除)を行ってゆくことで、さらに、半世紀以上の年月を、快適に使用して行くことが可能なのです。






ほんとうに良いモノとは何かにお気づきのあなたへ


スミスの時計のほとんどがそうである、機械式時計の中でも、最もシンプルな手巻式腕時計。

「Simple is the best.」という言葉があるように、壊れにくく、素の魅力を楽しめる、本来のスミスの機械式手巻時計は、デザインやメカニズム、そして、材質などの全てにおいて、やり過ぎることのない質実剛健な英国らしい魅力を、長く使うほどに味わえる時計であると言えます。

英国車のメーターと同じメーカーだから、ヴィンテージが好きで、デザインが気に入ったから、英国製が好きだから、きっかけはそれだけでも構いません。

でも、スミスの時計には、それだけでは、もったいない、とても多くの魅力が溢れていることに気づいて選んでいただければ、ありがたいです。