2018年4月5日木曜日

1975年のアストラル


スイス・ムーブメント搭載のレアモデル

1970年代に入りスミス社は時計事業を総括するブランドとしてASTRALを立ち上げます。それに伴い腕時計のムーブメントにはスイス製や日本製のコストパフォーマンスに優れたキャリバーを採用することになります。そして、特にこのアストラルのようなハイエンドモデルにはスイス・ムーブメントが搭載され精度と耐久性のさらなる向上に努めました。


裏蓋にはイートン社が社員へプレゼンテーションウォッチとして贈った証としての刻印が美しく刻まれています。







裏蓋の内側にはホールマークが刻まれ、この時計が1975年製造であることがわかります。このアストラルは裏蓋の刻印の日付と製造年が一致する珍しいパターンですが、1975年生まれの方には、素晴らしい生まれ年スミスとなるのではないでしょうか…。




ムーブメントに刻まれたスイス製の17石を表した刻印。当時スミス社がスイスや日本製のムーブメントのコストパフォーマンスに追従できなかったとは言え、結果的に質の高いムーブメントが搭載されたのは事実です。






ルビーが埋め込まれたムーブメントのプレートには、複雑で美しい地紋が施されており、機能性だけではなく、デザイン性にも気を配られていたことがうかがえます。1960年代のキャリバーとは異なるセンターセコンドであってもフラットで薄く設計された外観からも技術力の高さと進化がわかります。


可能な限り部品点数を抑えたシンプルな振り子周りの設計。赤く見える部分にはルビーがふたつ重なっており、その上を金色のスプリングで押え耐衝撃機能を生み出しています。それらの、各パーツには計算されつくされた機能美が宿り、その合理性が魅力です。



17石であること、また、INCABLOCはショックプルーフ、つまり、耐衝撃機能付という意味です。







シンプルなデザインの3針は、どれも極めて美しい状態を保っていますが、分針の付け根付近には、拡大することで、とても浅いキズが見られます。肉眼では見つけづらいこのキズが、このアストラルの唯一の欠点と言えるかもしれません。





オリジナル・ボックスの前面に備わる小さなプッシュボタンはお洒落なオープナー。1970年代に入ってからのアストラル純正化粧箱です。







金無垢ケースのサイドビューを見ると、エッジ部分もオリジナルのシャープさを保っており、磨き上げた痕跡は全く見られず、素性の良さがわかります。繊細かつシンプルなラインの構成により構築された美しい造形は後期のアストラルならではの魅力です。



ほとんど使用感のないオリジナル・ストラップ。金無垢ケースの裏面に刻印が無ければ、デッドストックということになるのでしょうが、オリジナル・オーナーすらほとんど使用しなかった、まさに驚愕のコンディションのアストラルです!

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