スミス専任時計師のウォッチギャラリー・ビッグベアー店主、大熊 康夫のブログ
「ヒストリーで選ぶスミス①」
~ローバー社のアストラル~
英国よりローバー社のアストラルが入荷!
今回、入荷致しましたアストラルは、単なる箱付の極上品ではなく、英国の老舗自動車メーカーのローバー社が、スミス社へ依頼して製造した金時計なのです。
ローバーミニやランドローバーを始めとしたローバー車のオーナーであれば、その存在を知り、探されていらした方も多いのではないでしょうか。
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ケース裏面の刻印が、この時計の隠された魅力
スミス社直系のケースメーカーSCW社によるキャスティングの9金無垢ケース裏面には、繊細な同心円の装飾があり、そこには、ローバー社の社名と共に社員の名前など贈られた際の情報が美しく刻印されています。
オリジナル・ボックスに長年保管されていたため、極めて良い状態を保っています。
完璧な整備で甦ったローバー・スミス
ローバーミニとスミスとの唯一の接点
初期のミニのスピードメーターがスミス社製であったことは、どの時代のミニのオーナーであっても周知のことでしょう。
ただ、ローバーミニの時代には、スミス社はすでに自動車用のメーターは生産しておらず、両者には接点がありませんでした。
ところが、このスミス・アストラルの金時計には、裏蓋にローバー社の社名が刻印されており、この時計が生まれた1965年には、ローバー社はミニを生産していませんでしたが、英国自動車メーカーの合併吸収などにより、時を経てローバーがミニの製造会社となる時代がやって来たという訳です。
この時計が世に生まれた1965年はBMCがミニを生産していた時代でしたが、ローバーとBMCとがミニを介してリンクしたローバーミニのオーナーには、マストなスミス・アストラルであると言えるでしょう。
完璧な整備で甦ったローバー・スミス
どんなに保管状態が良かった個体であっても、50年以上が経過した機械式腕時計には、正しい整備が必要です。
スミス専門店のビッグベアーでは、すべてを分解し、不具合箇所だけでなく、現状まだ使えそうな消耗部品などでも、金属疲労などを生じている可能性のある部品に関しては、新品交換を行い、各部の徹底的なバランス取りを行うことで、本来のスミスの精度と耐久性とを甦らせています。