2018年5月20日日曜日

ハイエンド・デラックスの佇まい


趣き深い地紋、レッドアロー、そしてスクリューバック

1960年生産のハイエンド・デラックス。美しく上品な文字盤の地紋、透明感のある
キャンディーレッドの秒針、スクリューバックのデニソンケース、そして、
重厚感のある竜頭…。そのどれをとってもハイエンドにふさわしい佇まいがある。

特別なデザイン、そして、特別な仕上がり。何処に目を向けても特別感のある仕様が、ハイエンド・モデルである証。手に取るだけで、その重量から、このデラックスがただものではないことが分かる。




ベゼル一体型の分厚いケースから、美しく伸びるラグにはどの角度から見ても妥協のないデザインポリシーを感じさせる。そこには大胆でシンプル、そして奥深い調和の取れた美意識が存在している。






竜頭のふくよかなラインにも存在感を感じさせる。周囲に刻まれた深い溝は巻きやすさや心地よい操作感を生むための機能美が結実したデザイン。ケースから伸びた筒状の突起と重なり合うことで防塵、防水性を高めた二重構造を形作っている。




文字盤に刻まれた地紋はセンターと周囲とで異なり、複雑で奥深いニュアンスを生み出している。この贅沢な地紋の上をレッドアローがビビッドな色を差しスミスらしい個性を演出する。センターセコンドならではの美しさと言えるだろう。





裏蓋はスクリュー式で、それゆえ厚みのあるケース形状となり実際の重量から伝わる重厚感が本物の佇まいとなる。さらに表面い深く刻まれた刻印がこの個体のヒストリーを物語り、魅力を更に増している。





裏蓋を専用工具により回転させて開けると、その内側にはホールマークをはじめ、このモデルのアイデンティティーを示すデータが現れる。デニソン社の中でもハイエンドのアクアタイトは文字通り防水ケースであることを示し、「9」で始まる四つのマークは9金無垢や1960年製造を示している。





振子の周囲に見える突起物はチラネジと言って振り子が均一に回転するために取り付けられたバランサーの役割をする極めて小さなネジ。1960年代後期からは、工作精度が向上して、チラネジは廃止された。1950年代を感じさせる貴重な名残といえるだろう。今となっては趣き深い機能美である。


センターセコンドはスモールセコンドよりも見た目がシンプルなため、簡単な構造に思われがちだ。しかし、実はスモールセコンドが時計のベーシックであり、6時の位置からギアを介して秒針をセンターに移動しているため、中身はご覧の通りギアの階層が二階建てとなり複雑となっている。



この時計の商品ページはこちらから。