2018年10月24日水曜日

インぺリアルという名の腕時計


スミスのフラッグシップ・モデル、インペリアル

スミス社のハイグレード腕時計というと、デラックスやアストラルが有名ですが、1960年代のフラッグシップといえばエヴェレストとインペリアルということになります。特にインペリアルは、すべてにムーブメントをインペリアル専用のスーパークウォリティー19石、CAL.0104キャリバーが搭載されているという点で、本来的なフラッグシップと位置付けられます。今回はその中でも贅沢なデニソン社製9金無垢ケースのインペリアルを取り上げてみました。

★このスミスの商品ページはこちら

スーパークウォリティーの19石ムーブメント搭載のインペリアルは文字盤の湾曲率が大きく優雅な雰囲気をデザインに取り入れています。また、幅の広いベゼル一体型のデニソン社製ケースは極めて美しく贅沢な印象を当ててくれます。





また、彫の深い大胆なデザインの長短針とスミスらしいセンターセコンド針先端の透明感のあるレッド・アローが、ラグジュアリーなフェイス・デザインに彩を添えています。






キャンディー塗装が施されたレッド・アローは透明度が高く、また、光が当たるとルビーのような美しい輝が極めて魅力的なスミスならではの装飾です。時計に目をやった際にここまで注目度の高い秒針は他にないでしょう。





ケース裏蓋には彫の深いラインが施されており、さらに、この個体には美しい刻印が刻まれています。これも、このアイテムの大きな個性的な魅力のひとつであるといえます。







裏蓋を開けると、その内側にホールマークが刻まれています。左のふたつは9金無垢であることの証で、右ふたつは1960年に生産されたことを表しています。その上部には英国の名門デニソン社製であること、また、英国製品であることが刻まれています。




ヴィンテージウォッチらしい周囲にチラネジの付く振子とショックプルーフ機構の十字架の形状は、長年、高度な技術を積み重ねてきたスミスの誇りを感じさせてくれる機能美と言えるでしょう。






このCAL.0104ムーブメントはデラックスなどに搭載されていたC1215キャリバーと比較すると直径が一回り小さく設計されており、その分文字盤の湾曲を大きくできる利点を持っていますが、実はこの小型化はの後に自動巻きをリリースするためのアイデアでもありました。




このアイテムは、極めて貴重なインペリアルのオリジナルボックスが付属いたします。全体にスミスのイメージカラーであるレッドでコーディネイトされておりトリムには金箔押しが美しく施されています。






ケース外装の表面処理と金箔押しはフラッグシップならではのグレードの高さを感じさせるデザインです。下部に見えるプッシュボタンはロック解除のオープナーです。







内装のライニングには、やはり美しい金箔押しが施されており、当時いかに贅沢な製品であったかを想像できるのではないでしょうか。





このアイテムの商品ページはこちらから




2018年10月5日金曜日

極上の輝き、18金無垢のスミス・デラックス


スミス・デラックスの最高峰、18金無垢ケース

スミス社の金時計は、頑なに英国の伝統を守り金無垢ケースには9金を使用していたように思われています。しかし実際には、戦前より18金無垢ケースの懐中時計を多数リリースしており、最高峰のモデルには、18金無垢が採用されていました。そして、戦後のスミス社製腕時計にも、極めて稀に、また少量の生産ではありましたが、18金無垢ケースを使ったモデルが存在しました。今回紹介させていただくアイテムが、まさにデラックスの最高峰と言える18金無垢、1955年生産のデラックスです。

18金無垢として選ばれたのは、ラグのエッジが効いたシャープで彫が深く、気品あるデザインのケースです。このケースの18金の色は、温かみのある、ややピンク系のゴールドで、落ち着きのある色合いで、さすがに英国製の18金といえる上品な色合いです。




3ピース・ケース本体の側面には18金を示すホールマークが施されています。ケースの状態もご覧いただける通り、ほとんどキズなどの無いミントコンディションを保っています。





竜頭側から眺めたケース側面。ギリシャ彫刻のような面構成されたエッジの効いたデザインは品格の高さを感じさせます。また、ベゼルとラグとの間に、わずかな溝を付けることで、それぞれを独立した造形に見せています。




反対側からの眺め。浮彫のインデックスはイエローゴールドの金メッキを採用しており、同じ金の微妙なコントラストが奥深い味わいを作り上げています。






デュオトーン文字盤のセンター部分はわずかにエイジングしており、淡いピンクに色づいており、この個体の個性を感じさせる魅力となっています。付属のデッドストック・ベルトとのマッチングは素晴らしいの一言です。背景は付属のオリジナルの保証書です。






また、この製品には状態の良いオリジナルボックスが付属いたします。何十年もの間この箱の中で、大事に保管されていたことが、想像できます。






ベルトはスミス社製ではありませんが、1950年代当時の本革デッドストック品が付属いたします。風合いは見事にマッチしており、新品当時より装着されていたように見えるほど、自然です。





オリジナルボックス内部にはライニングが施されスミス・デラックスのロゴマークが金箔押しされています。エイジングはほとんどなく、清潔感のあるコンディションと言えるでしょう。





裏蓋には美しい刻印が施されており、これもまた、ヒストリックな魅力ある装飾と言えます。また、裏蓋のデザインにも周囲にエッジの効いたテーパード加工が施され、隅々にまで気を配ったデザインと言えます。





裏蓋の内側には、ホールマークが刻印されており、18金無垢であること、そして、1955年に製造されたケースであることが示されています。中段のふたつはエジンバラの税務署のマーク、そして下のZはイヤー・マークで1955年を表しています。





ムーブメントに美しく刻まれたMADE IN ENGLANDの文字。このムーブメントがスミスの英国チェルトナム工場で生産された証です。ムーブメントのプログラムレートは真鍮製で表面にフロステッド・ゴールド・プレートが美しく施されています。





この時計の生産年号はケースのホール・マークから1955年と判断されますが、裏蓋表面の刻印が1960年であること、そして、1960年前後より採用されたショックプルーフ機能が搭載されチラネジが装着された振子から、ムーブメントが搭載されたのは1960年頃であることが分かります。




この時計の商品ページはこちらから