どちらのスミスがお好みですか?
スミスと言えばデラックス、そして、その中でも金無垢モデルは幅広い層に人気があります。ただ、デラックスの金無垢モデルには、よく見かける青焼されたブルースチール・ハンズや金メッキの施されたゴールド・ハンズのモデル、そして、デュオ・トーンや水平基調のライン文字盤など、さまざまなモデルがあり、どれもスミスらしさに溢れた個性を持っているため、どれを選ぶべきか悩ましいのではないでしょうか。今回は針の材質に焦点を当て、その魅力を比較してみました。
■個性的なブルースチールと落ち着いた美しさのゴールド・ハンズ■
現代の時計では、ほとんど見られない鉄を焼き、
メタリックブルーの表面を作り出したブルー・スチール・ハンズ。
光が当たると、まるでモルフォ蝶のようにメタリック・ブルーに
輝くその魅惑的な色彩は、実は戦前からある伝統的な技法。
対するゴールド・ハンズは、その美しさとケース、インデックス、そして、針が
ゴールドで統一された上品な美しさが、スミス・デラックスらしさとして、
販売が始まった1952年から終了する1960年代半ばまで、
常にデラックスのスタンダードを保ってきました。
■ベルトを支えるラグのデザイン■
ラグは時計にとってベルトを取り付ける、大事な機能部品であるとともに、
単調になりやすい時計のケース・デザインにアクセントを与える
自由度の高い装飾ともいえます。
左のブルースチールと右の金針のデラックスを見比べると
ブルースチールの曲線を多用しデザインに比べ、
金針はほとんど直線で構成されています。
優美で力強い印象のブルースチール、
そして繊細でシンプルな金針モデルと言えるでしょう。
■裏蓋のデザインの違い■
スミスの金無垢モデルには90%以上の確率で、
裏蓋に刻印が施されたプレゼンテーション・ウォッチです。
つまり、個人や企業から贈られた記念品としての時計であると言えます。
この金無垢デラックスも、
共に裏蓋には美しい刻印が刻まれています。
まずは、裏蓋の形状に目を向けてみると、
左はブルースチール・ハンズで、裏蓋はフラットな表面であるのに対して、
右のゴールド・ハンズは、裏蓋の鏡面が湾曲しており、
見比べると、それぞれ印象が異なります。
■ブルースチールの裏蓋にはBRの文字■
ブルースチール・ハンズの裏蓋にはBR、つまりイギリス国鉄の
プレゼンテーション・ウォッチであることを示す
美しい刻印が施されています。
■ゴールド・ハンズの裏蓋にはAustinの文字■
ゴールド・ハンズの裏蓋にはAustinの
プレゼンテーション・ウォッチであることを示す
美しい刻印が施されています。
どちらも、それぞれのデラックスの個性であり、
歴史を示す極めてシンボリックなイングレーヴィング
であると言えます。
これらの美しい刻印も
スミスの金無垢腕時計ならではの
美しさとして、また、ヒストリーであると、
認識していただきたい美点なのです。
■あなただったら、どちらを選ぶでしょう?■
今回のスミス・デラックスは、どちらもスミスらしい個性が際立ったデラックスと言って良いスミスの代表作と言えるモデルです。一瞥した時の印象は、ブルースチールの方が力強い印象であり、また、分かりやすい魅力であるため、選択が容易であるかもしれません。しかし、ゴールド・ハンズには第一印象が柔らかく優し印象であるため、その奥深い英国らしい気品や奥ゆかしさを、魅力として捉えるには時間がかかるモデルであるかもしれません。
■全く異なるモデルの中に多くの共通点が■
つまり、どちらを選んでいただいても、正統的な英国製スミスの王道であり、間違いのないデラックスであると申し上げられます。そして、お気づきの方も多いのではと思いますが、このふたつのデラックスのアラビア数字をご覧いただくと、書体が、全く同じとは言えませんが極めて酷似しています。さらに針の形状をご覧いただくと、材質と表面加工は大きく異なりますが、ほぼ同じ形状でありることがお分かりいただけると思います。
■ともにスミス・デラックスのスタンダード■
1962年と1954年。年式には8年もの隔たりがありますが、スミス社がこのふたつのデラックスへ注ぎ込んだ思いは同じスミス・デラックスのスタンダードだったのではないでしょうか。
★ブルースチール・ハンズのデラックスの商品ページは
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★ゴールド・ハンズのデラックスの商品ページは
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