2020年3月19日木曜日

一期一会「ビッグベアーのスミスと出会うということ」No.1


「英国スミス紀行」
文・写真:大熊康夫
(ウォッチギャラリー・ビッグベアー店主、時計師)


1910年代より生産し続けてきた、英国らしい伝統的なデザインと、スイスの一級品と肩を並べる優れたメカニズムとを兼ね備えたスミスのハイグレード・モデル。そんなヴィンテージ・ウォッチであるスミスを、本来の状態に甦らせるためにビッグベアーの店主であり時計師の大熊康夫が行ったこと。それは、スミスの生まれ故郷である英国を訪ねることでした


英国各地を旅した1960年代のモーリス・マイナー・トラベラー


■地図を頼りに英国全土を、走り回る旅
モーリス・マイナーで英国の旅を始めたのは、確か1991年の春頃のこと。その当時は、田舎の古いパブ巡りやヴィンテージ・カーのイベントへ訪れることがほとんど。日本人であっても、モーリスに乗っているというだけで親近感を持って接してくれるもの。そんな、英国の素顔を知れる旅がとても楽しく毎年渡英を繰り返すことに…。ところが、ある時から、旅の目的に変化が。そう、スミスと出会うための旅に…。

■スミスにまつわる数々の出会い
スミスを求めて、英国を走りまわる旅。それは、小さな村で知り合った時計師、トーマスとの出会いから始まることに。そして、次から次へとスミスの連鎖が果てしなく続いてゆくこととなってゆく…。




■ヴェリー・オリジナル
純正パーツで構成された状態の良いスミスを探し求めて、情報が入ればどこへでもモーリスを走らせ現地へ。そして、そんなスミスの持ち主と出会うと、彼らは、必ず「Very original, never touched」と言って笑みを浮かべる。それは、そのスミスが純正のオリジナル・パーツで構成され、ケースや文字盤などに修復が行われていない状態のこと。そんな特別なスミスと出会うのは英国であっても簡単ではない。

■スミス本来の性能を甦らせるために
スミスに限らず、ヴィンテージ・ウォッチの修理を行う者にとって、現行品と大きく異なることは部品の入手が難しいこと。まして、時計メーカーとしてのスミスは存在していないため、部品の供給はな皆無。そんな中で、スミス本来の性能を甦らせるには、経験に基づくノウハウはもちろん、消耗部品を始めとする新品の純正パーツが不可欠。ビッグベアーの時計工房に充分なパーツがあるのは、長年英国で、部品探しを行っていたからに他ならない。

■次にどこへ行くべきか
小さな村の時計師、トムは、時計や部品だけでなく様々な情報をも与えてくれた。「今はリタイヤしてるけど、隣村のデヴィッドは、40年以上スミスを扱っていたから、きっと部品を持っているよ。」こんな具合に、人づてにスミスの輪が広がって行く…。その上、スミスに関する裏話や技術的なインフォメーションまで聞くことができ、まさに、スミスの生き字引。



■旅の疲れを古いパブが癒してくれる
たとえば、骨董市へ行ったり、アンティーク・ショップの扉をたたいても、状態の良いスミスや部品が手に入るとは限らない。村の時計師の情報をくれたのは、パブの常連客のひとり。そして、ヒースローに戻る前には、再びヴィレッジ・パブを訪れる。常連客の姿はなくても、彼らの気配を感じるその空間が旅の疲れを癒してくれるから…。



■日本へ戻ると小包が
旅の途中で出会ったスコットランドの時計師のジョンが、膨大なストックの中からスミスのパーツを探してくれると言っていた。英国の旅を終えて日本に戻ると、びっしりとゼンマイが詰まった段ボール箱が届いていた。こんな出会いの積み重ねが、我々時計師の正しいメンテナンスを可能にしくれる。そして、オリジナルの純正部品で構成され、なおかつ本来の性能を発揮できるビッグベアーのスミスが誕生する。






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実際に英国を旅したモーリス・マイナー・トラベラー

一期一会

「ビッグベアーのスミスと出会うということ」

ビッグベアーでは、英国とのコネクションを生かし、
オリジナリティーの高い特別なスミスのみを入手しています。
入荷したスミスは専門店としてのノウハウをもとに、
デッドストックの純正部品や、欠陥のあるスミスのパーツについては、
国内の時計部品メーカーと共同開発した対策部品を使って、
生産当時に匹敵する精度と信頼性、そして使い心地を甦らせています。

そんなビッグベアーのスミスの中から、
あなただけの特別なスミスに出会っていただければ幸いです。

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