2019年9月14日土曜日

個体数の少ないフラッグシップ・デラックス


気品ある佇まいのデラックス

1956年に生産されたこのモデルには、細部に至るまで研ぎ澄まされた美しさと気品を感じさせる個性が宿っています。その理由はスミス社が当時フラッグシップとして、持てる技術とデザイン・センスとを惜しみなく注ぎ込んだからに他ならないでしょう。デュオトーンやブルースチールなどの人気の量産デラックスとは異なる落ち着いた大人の美学がここにあります。

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■まるでLEDのように光るインデックス
一見地味に見える上品な地紋を基調とした文字盤には幾何学図形のインデックスが並び光を受けるとまるでLEDライトのような強い反射光を放ちます。






■スミスらしいレッド・アローの輝き
インデックス同様に光が当たると秒針の先端に施されたスミスならではのレッド・アローが美しく輝きます。金メッキにキャンディー塗装されたルビーのような透明感のある赤い矢印はスミスの個性のひとつと言えるでしょう。




■繊細な地紋にスミスの高い技術力が
優れたタイム・ピースであるためにはデザインと精度の両立が不可欠と言えるでしょう。さらに、優れたデザイン・センスがあっても、それを具現化できる技術力がなくては実現できません。スミスの文字盤製作技術は当時より高く評価されており、エルメスやガラードなどのラグジュアリー・ブランドが採用していていた理由ともいえるでしょう。


■裏蓋の溝が防水ケースの証
英国の老舗ケースメーカーのデニソン社の技術力は世界的に認められており、ロレックスやオメガなどにも採用されていたことからも頷けます。そのデニソン社が手掛けたこのアクアタイト・ケースは文字通り防水機能を持ち、スクリュー式の裏蓋にはオープナー用の溝が彫られています。スクリュー式の裏蓋のネジ溝のためにも、ケースの厚みは通常のモデルよりも肉厚のヘビーウェイトケースとなっています。これも、フラッグシップ・モデルであるための装備と言えるでしょう。


■袋状の竜頭
このデニソン社製アクアタイト・ケースの竜頭は通常のものよりも大きく厚みがあります。ケース側のスリーブとそれに被さる構造であるため、袋状の設計になっていることが、その理由です。つまり、これこそが理由のある機能美と言えるのでしょう。





■裏蓋の内部にはホールマークが
裏蓋を開けて内側を見ると、デニソン社のロゴを始めいくつかのホールマークスなどの刻印が刻まれています。税務署が金製品製造時に納税の証として打刻した暗号化された、これらのホールマークスは、現在では年式を知る手掛かりとなっています。




■ムーブメントは17石高性能キャリバー
このフラッグシップ・モデルのデラックスに搭載されているのは精度、耐久性共に優れた17石キャリバーです。英国チェルトナムにあるスミス社の工場で生産されたこのムーブメントはデザイン的にもスイス製とは大きく異なります。スイス製が精密さを誇張して見せるデザインであるのに対し、スミス社製の17石は可能な限り剛性や精度、そして整備性を重視した英国的なデザインと言えます。



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2019年9月7日土曜日

1960年代に生まれ変わったスミス1215


1946年製、スミス9金無垢1215

戦後間もなくスミス社は、英国チェルトナムの自社工場で、ほぼ100%イングリッシュ・メイドの腕時計の生産を開始しました。その時計のモデル名は1215(トゥエルブ・フィフティーン)。戦後のスミス社のヒストリーにおいて最も重要な出来事であり、このモデルからすべてが始まったといっても過言ではありません。戦後のスミス社のヒストリーをスタートさせた1215モデルはとても素晴らしい設計のムーブメントを搭載してはいましたが、いくつかの問題も抱えていたのです。

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■1960年代に生まれ変わった
初期モデルにありがちな問題を抱えていた1215モデル。約20年間使用されると、各部の消耗が進み日常使用に問題が出てくるようになります。そんな1960年代1215ムーブメントは進化を続け完成形を迎えます。そして、不具合のあった多くの1215モデルのムーブメントは1960年代のCタイプ・ムーブメントに換装され生まれ変わったのです。この個体も、ムーブメントを換装され、生まれ変わり高性能を得た1215なのです。

■安心して末永く使用できるように
そのシンプルなデザインの文字盤や上質なデニソン社製金無垢ケースなど、1215モデルには、後のデラックスやアストラルにはないスミスらしい佇まいがあるため、ファンが多く存在します。そんな、1215を安心して末永く使用できる手段として、ムーブメントの換装が試みられたわけです。とはいえ載せ替えられたムーブメントは1940年代に生まれた1215の進化形である1960年代のCタイプムーブメントであるため、これは正しい、そして、理想的な選択と言えるでしょう。


■美しさと信頼のデニソン・ケース
このモデルには1940年代に多く見られたホーン・ラグと呼ばれる、動物の角を思わせるデザインのラグを持つケースではなくシンプルな形状の3ピース・デニソン・ケースが採用されています。良く眺めてみれば、シンプルな中にも、表にはバネ棒の穴を見せないデザイン。そして、強度を第一に考えた曲線など、ラグへ対するデニソン社の哲学が美しさとなり、見るものに機能美を訴えかけてきます。それらは、長年の経験と積み重ねられた技術とが結実した美と言えるでしょう。


■しっかりとした巻き心地の竜頭
新品に交換されてはいますが、潔いデザインの機能を優先した竜頭。ムーブメントと人とが接する唯一の部品であるだけに、その巻き心地と操作感はとても重要。1946年に生を受け、1960年代に生まれ変わった1215。さらに、2019年にビッグベアーですべてに手が入り、次世代へ受け継がれる品質の製品にまで昇華しました。毎日使用できる1215をご希望でしたら、迷わずこの個体を選んでいただきたい。



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