スミス専任時計師のウォッチギャラリー・ビッグベアー店主、大熊 康夫のブログ
~時計師の仕事場 #0015~
「表情を大きく変えるデュオトーン・ダイアル」
1950年代前期のデラックス
「光の当たり方で表情が変わる文字盤」
ほぼ完璧と言える新品当時の状態をキープしている文字盤。どちらも1950年代前期に生産された極めて美しいデュオトーン・ダイアルだが、実はこのふたつの文字盤は同じ個体を撮影したもの。
光の当たり方で、見事にデュオトーン(2トーン)の濃淡が反転しているのが分かります。また、この濃淡が反転するまでの過程には中間調がシームレスに存在し、そのデュオトーンがほぼ一色に見える瞬間も存在する。
さらに、これらのデュオトーンのコントラストの強弱も、光の強さや入射角により現れ、実に奥深い表情を見せてくれる文字盤であると言えます。
「表情の違いを楽しむ」
最もこのモデルらしいニュートラルな表情
ほぼデュオトーンでなくなったモノトーンに見える文字盤
反転して中央が濃くなった状態
表情の変化は、これら3パターンだけではなく、それぞれの中間調や、朝日、夕陽、人工光など光源の条件により無数の表情を楽しむことが出来るのです。
デュオトーン・ダイアルはデラックスの中でも、特に趣のある味わい深いモデルであると言えるでしょう。