2022年5月2日月曜日

 

スミス専任時計師のウォッチギャラリー・ビッグベアー店主、大熊 康夫のブログ

~時計師の仕事場 #0009~

■ ロンドン・ノース・イースタン・レイルウェイズの懐中時計 ■ 
デッドストック・ムーブメント搭載!



※この画像の汽車はスミス社発行の資料から抜粋したもので、実際にLNERにて使用されていたかは不明です



「1940年代の最初期モデル」

今回、ご紹介する4ビート懐中時計は、戦後間もなくから1940年代に生産され、ロンドン&ノース・イースタン・レイルウェイズのオフィシャル・ポケットウォッチとして使用されていたモデルです。また、4ビート・モデルとしては、最初期モデルにあたる、ニッケルメッキ・ケースの極めてレアな個体です。




「後から入れられた文字盤のLNER」

頭文字のLNERは、ロンドン・ノース・イースタン・レイルウェイズを意味しており、製品製造後に手描きにて入れられたロゴと考えられます。

この4ビート懐中時計はケースの材質やデザインが1950年代以降のクロームメッキ・モデルとは全く異なっており、真鍮にニッケルメッキが施された温かみのある、ややイエローがかった色彩と細部の趣のあるデザインには、特別な造形美を感じさせます。

また、針のデザインも特徴的で青焼針の質感もブルーの輝きが強く、その個性的なフォルムと共に初期モノならではの雰囲気が漂っています。




「裏蓋のロゴとシリアル・ナンバー」

ベゼルやケース本体などと同様の、真鍮にニッケルメッキが施された裏蓋には、ロンドン&ノース・イースタン・レイルウェイズを示す「L.N.E.R.」と、シリアル・ナンバーである「3910」の刻印が施されており、この個体がオリジナルであることを示しています。

表面の金色に見える部分は、ポケット内で擦れ、ニッケルメッキが薄くなり真鍮のベースメタルが露出したものです。




「操作系の部品も1950年代のクロームメッキ製とは別物」

竜頭、ネック、そして、リングといった部品も、1950年代のクロームメッキ製とは別物で、造形やメッキなど初期モノならではの味わいを感じ取ることが出来る魅力的な部分です。




「鮮やかに輝く青焼針」

極めて個性的なデザインの長短針は、鮮やかなブルーに輝きLNERのロゴと共に、この時計の個性であるといえるでしょう。

製造後、70年以上が経過したことによる自然な経年変化は、新品交換されているレンズとムーブメント以外は、すべてにおいて統一感のある魅力的な佇まいにエイジングしています。




「隅々までがオリジナルであることが、この個体の魅力」

経年によるエイジングは、当然見られますが、どこに目を向けても、オリジナルの部品であることが、この個体の魅力であると言えるでしょう。





「温かみのあるニッケルメッキの魅力」

戦前のクルマやバイクのメッキに多く使われていた、ニッケリングと呼ばれるニッケルメッキは、クロームメッキよりもやや黄色味が強く、温かみを感じさせる魅力的な色彩であり、この時代ならではの上質な素材感である言えます。




「酷使されたムーブメントは新品へ載せ替えました」

この個体が、英国よりビッグベアーへ届いた時、すでにオリジナルのムーブメントは、1950年代のものに載せ替えられており、そのムーブメントも不動状態となっていました。

そのため、ビッグベアーでは、1960年代末期に生産されたデッドストックムーブメントをオーバーホールし、完璧な状態に整備を行い搭載しました。




「1940年代のレアモデルを新品時の精度と耐久性でご使用いただけます」

外観は、アクリル製レンズ以外は当時の純正部品で構成されているため、その佇まいは、まさに、正しく使われて来た道具としての魅力に溢れています。

しかし、ムーブメントは、デッドストックをオーバーホールした完璧な状態で搭載されているため、日常的に本来の性能を楽しんでいただけるコンディションに仕上がっています。


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