スミス専任時計師のウォッチギャラリー・ビッグベアー店主、大熊 康夫のブログ
~時計師の仕事場 #0011~
「古典的なデザインが生んだ魅力」
1965年 パール調ダイアル・アストラル
「微かに黄色味を帯びたパール調の文字盤」
アストラルらしい、パール調の盤面の中でも、このアストラルは光の当たり方で、黄色味が強く表れる瞬間があり、9金無垢ケースや金メッキの三針、そして、浮彫のアラビア数字のインデックスとのバランスの良さに、気品ある英国製品としての魅力を感じることが出来ます。
「古典的なデザインが美しさを生む」
シンプルな中にも、各部にしっかりとした普遍的なアラビア数字のインデックスや、伝統を感じさせるスモール・セコンド・ダイアルなどの、古典的な要素がバランスよく使われることで、英国的な間違いのない美しさを生み出しています。
1965年製造の、このアストラルには、熟成しきった、スミスの最終到達点と言える完成度の極めて高い15石ムーブメントが搭載されています。
そして、時計師として、ここでお伝えするべきことは、まるで、昨日イングランドにあるスミス社のチェルトナム工場から出荷されたばかりと、見まごうほどに美しい、このムーブメントが語りかけてくることです。
それは、外観の美しさや、使用頻度が少なかったこと、そして、極めて良い環境下で保管され続けて来たことはもちろんですが、最も重要なのは、60年近い長い眠りから覚めるまで、工場出荷以来、誰の手にも触れられることが無かったことに他なりません。
そんな、まるでデッドストックのようなムーブメントの、すべてを分解し、スミスの唯一の欠陥部品を対策部品へ交換することを含めた、ビッグベアーの専門店ならではの整備を行うことで、工場出荷時の精度と、それ以上の耐久性を得ることが出来るのです。
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「新品と見まごうほどの美しいパーツ」
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