2020年2月22日土曜日

ピンクに色づいた文字盤が美しいデラックス


ピンクに色づいた文字盤中央部分とレッドアローが美しい

デュオトーン文字盤のデラックスは、スミス社製腕時計の中でも、最もスミスらしいモデルのひとつといえます。そして、このデラックスの文字盤センター部分はマットホワイト塗装が施されていますが、この個体は時とともに淡いピンクに色づいています。ピンク・ゴールド系の9金無垢ケースとセンターセコンド針先端に施されたレッドアローとのコンビネーションがとても美しいアイテムと言えるでしょう。

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■時を経て現れた美しい表情
この個体の一番のチャーム・ポイントは淡いピンクに色づいた文字盤と言えるでしょう。当時、店頭に並んだ時にはマット・ホワイトだった文字盤の中心部分が、稀にこの個体のようなピンク色になることがあり、柔らかい表情が魅力です。

■女性にもお勧めな色調
スミスに限らず1970年代ごろまでのメンズのドレスウォッチは、外径30mm前後と、とても小ぶりです。それに加えて、カッパーの含有率が多いピンク・ゴールド系のケース、キャンディー塗装のレッド・アロー、そして、ピンクの文字盤とで作り上げられた統一感のある優しい色調は、女性にもお勧めのデラックスといえます。

■差し込む光で様々な美しさに
普段の生活の中には太陽光を始め、温かみのある電球の色やニュートラルな蛍光灯、そして、最近ではLEDなど様々な光源があります。そんな光の色温度によって、特に様々な美しさを感じ取れるのもこのデラックスの魅力といえるでしょう。



■オリジナルの竜頭とレッドアロー
端正な造形が魅力の竜頭、そして、透明なキャンディー塗装が施されたレッドアロー。これらの細部にわたる純正部品の集積がバランスの取れたスミス本来の美意識を表現しています。※レンズ及びベルトは適正サイズの新品装着です。



■1950年代らしい振り子のチラネジ
幾重にもつながるパワートレインの輪列と、その中でひと際目を引く存在感を放つ振り子。特にこのデラックスの振り子には戦前からの伝統を引き継いだチラネジが作り上げた造形の魅力が備わっています。




■ホールマークが語るヒストリー
SCW(スミス社のケースメーカー)製の9金無垢ケースの裏蓋の内側には、ホールマークと呼ばれる刻印が、いくつか施されています。これらは、ケースの素材が9金無垢であることの他にも1957年に製造されたことも表しています。中央の9の下にふたつ並ぶ刻印は、左がエジンバラのお城マーク、そして右はイヤーマークと呼ばれ、この書体とBであることから1957年製造が明らかになるのです。

■裏蓋の刻印もこの時計の個性
当時、プレゼンテーション・ウォッチとして使われたこのデラックスには、金無垢ケースの裏蓋に、極めて美しい刻印が施されています。今ではとてもお洒落で美しいこのデラックスの個性といえるでしょう。







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2020年1月22日水曜日

理想の1215(トゥエルブ・フィフティーン)


理想の1215

戦後間もなく、スミス社はスイスのジャガールクルト社の技術を導入して世界水準の英国製ムーブメントの開発に成功しました。それが、この1215(トゥエルブ・フィフティーン)モデルです。ただ、この1215モデル、シンプルで英国では最もスミスらしいスミスと評されていますが、初期モデルに付き物のいくつかの欠陥を持っていたことも事実です。そんな1215の中で、この1950年代初期に生産されたこのモデルは、初期のデラックスに匹敵する改善型ムーブメントが搭載際された理想の1215最終モデルなのです。

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■ステンレス・スチール製ケース
この1215には、工作精度に優れたステンレス・スチール製の3ピース・ケースが採用されています。窓辺に置いて逆光で見ると、小ぶりながら、ふくよかな美しいケースのラインが際立ちます。レンズの反射で文字盤に歪みがあるように見えますが、実際には、平らでうねりなどは見られません。




■スミスならではの、素の美しさ
1215の文字盤はフラットでシンプルなデザインですが、細部には隅々にまで神経の行き届いたスミスらしい上品で控えめな美意識を感じさせます。派手さは微塵もありませんが、奥深い英国製品としての気品が満ち溢れています。ケースの影などで文字盤が歪んでいるように見えますが、実際は極めて美しい状態です。



■ブルースチールの美しさ
窓から差し込む陽の光をあてると、青焼針がメタリック・ブルーに輝きます。シックなデザインの文字盤に、唯一、色を差す瞬間といえます。文字盤の中央8時方向周辺に微かなエイジングが見られますが、肉眼ではほとんどわからない程度です。





■スモセコの下には英国製品の証が
端正な作り込みのスモールセコンド文字盤の下にはMADE IN ENGLANDの控えめな文字がプリントされています。戦後、英国チェルトナムにある自社工場で生産されたことを示した、スミス社の慎ましやかな誇りといえるでしょう。




■オリジナルの竜頭が健在
ヴィンテージ・ウォッチにおいて、ベルト、風防、そして、竜頭に関しては消耗品と考えられ、それらがオリジナルの部品でなくても、評価は下がらないと言われています。しかし、この1215には新品当時の純正竜頭が極めて良い状態で装着されており、使用頻度が少なかったことが分かります。



■ケース本体の側面にはヘアライン加工が
3ピースのステンレス・スチール製ケースの本体部分には側面のみヘアライン加工が施されており、ラグの極めて美しいラインとともに、この時計の隠れたチャームポイントと言えます。




■裏蓋の微かな腐食キズ
全体的に極めて美しい状態を保った、1950年代初期の1215としては、異例のコンディションと言えますが、裏蓋には表面的な腐食によるキズが微かに見られます。






■裏蓋のコンストラクションも極めて良好
英国製であることが分かるケース裏蓋は、開閉による歪みなどのない極めて良い状態が保たれていることが分かります。






■1215Cタイプ初期ムーブメント
1215ムーブメントにはA、B、Cタイプがあり、この1215に搭載されているキャリバーはCタイプの最初期型です。1215としては最終型に、そして、デラックスの最初期型に搭載の熟成された信頼性の高いムーブメントです。



■洗浄工程の1215ムーブメント
ムーブメントを分解して洗浄。この後、振り子などをさらに分解して、本来の精度を取り戻すための洗浄、注油、そして、調整を行います。









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2019年9月14日土曜日

個体数の少ないフラッグシップ・デラックス


気品ある佇まいのデラックス

1956年に生産されたこのモデルには、細部に至るまで研ぎ澄まされた美しさと気品を感じさせる個性が宿っています。その理由はスミス社が当時フラッグシップとして、持てる技術とデザイン・センスとを惜しみなく注ぎ込んだからに他ならないでしょう。デュオトーンやブルースチールなどの人気の量産デラックスとは異なる落ち着いた大人の美学がここにあります。

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■まるでLEDのように光るインデックス
一見地味に見える上品な地紋を基調とした文字盤には幾何学図形のインデックスが並び光を受けるとまるでLEDライトのような強い反射光を放ちます。






■スミスらしいレッド・アローの輝き
インデックス同様に光が当たると秒針の先端に施されたスミスならではのレッド・アローが美しく輝きます。金メッキにキャンディー塗装されたルビーのような透明感のある赤い矢印はスミスの個性のひとつと言えるでしょう。




■繊細な地紋にスミスの高い技術力が
優れたタイム・ピースであるためにはデザインと精度の両立が不可欠と言えるでしょう。さらに、優れたデザイン・センスがあっても、それを具現化できる技術力がなくては実現できません。スミスの文字盤製作技術は当時より高く評価されており、エルメスやガラードなどのラグジュアリー・ブランドが採用していていた理由ともいえるでしょう。


■裏蓋の溝が防水ケースの証
英国の老舗ケースメーカーのデニソン社の技術力は世界的に認められており、ロレックスやオメガなどにも採用されていたことからも頷けます。そのデニソン社が手掛けたこのアクアタイト・ケースは文字通り防水機能を持ち、スクリュー式の裏蓋にはオープナー用の溝が彫られています。スクリュー式の裏蓋のネジ溝のためにも、ケースの厚みは通常のモデルよりも肉厚のヘビーウェイトケースとなっています。これも、フラッグシップ・モデルであるための装備と言えるでしょう。


■袋状の竜頭
このデニソン社製アクアタイト・ケースの竜頭は通常のものよりも大きく厚みがあります。ケース側のスリーブとそれに被さる構造であるため、袋状の設計になっていることが、その理由です。つまり、これこそが理由のある機能美と言えるのでしょう。





■裏蓋の内部にはホールマークが
裏蓋を開けて内側を見ると、デニソン社のロゴを始めいくつかのホールマークスなどの刻印が刻まれています。税務署が金製品製造時に納税の証として打刻した暗号化された、これらのホールマークスは、現在では年式を知る手掛かりとなっています。




■ムーブメントは17石高性能キャリバー
このフラッグシップ・モデルのデラックスに搭載されているのは精度、耐久性共に優れた17石キャリバーです。英国チェルトナムにあるスミス社の工場で生産されたこのムーブメントはデザイン的にもスイス製とは大きく異なります。スイス製が精密さを誇張して見せるデザインであるのに対し、スミス社製の17石は可能な限り剛性や精度、そして整備性を重視した英国的なデザインと言えます。



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2019年9月7日土曜日

1960年代に生まれ変わったスミス1215


1946年製、スミス9金無垢1215

戦後間もなくスミス社は、英国チェルトナムの自社工場で、ほぼ100%イングリッシュ・メイドの腕時計の生産を開始しました。その時計のモデル名は1215(トゥエルブ・フィフティーン)。戦後のスミス社のヒストリーにおいて最も重要な出来事であり、このモデルからすべてが始まったといっても過言ではありません。戦後のスミス社のヒストリーをスタートさせた1215モデルはとても素晴らしい設計のムーブメントを搭載してはいましたが、いくつかの問題も抱えていたのです。

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■1960年代に生まれ変わった
初期モデルにありがちな問題を抱えていた1215モデル。約20年間使用されると、各部の消耗が進み日常使用に問題が出てくるようになります。そんな1960年代1215ムーブメントは進化を続け完成形を迎えます。そして、不具合のあった多くの1215モデルのムーブメントは1960年代のCタイプ・ムーブメントに換装され生まれ変わったのです。この個体も、ムーブメントを換装され、生まれ変わり高性能を得た1215なのです。

■安心して末永く使用できるように
そのシンプルなデザインの文字盤や上質なデニソン社製金無垢ケースなど、1215モデルには、後のデラックスやアストラルにはないスミスらしい佇まいがあるため、ファンが多く存在します。そんな、1215を安心して末永く使用できる手段として、ムーブメントの換装が試みられたわけです。とはいえ載せ替えられたムーブメントは1940年代に生まれた1215の進化形である1960年代のCタイプムーブメントであるため、これは正しい、そして、理想的な選択と言えるでしょう。


■美しさと信頼のデニソン・ケース
このモデルには1940年代に多く見られたホーン・ラグと呼ばれる、動物の角を思わせるデザインのラグを持つケースではなくシンプルな形状の3ピース・デニソン・ケースが採用されています。良く眺めてみれば、シンプルな中にも、表にはバネ棒の穴を見せないデザイン。そして、強度を第一に考えた曲線など、ラグへ対するデニソン社の哲学が美しさとなり、見るものに機能美を訴えかけてきます。それらは、長年の経験と積み重ねられた技術とが結実した美と言えるでしょう。


■しっかりとした巻き心地の竜頭
新品に交換されてはいますが、潔いデザインの機能を優先した竜頭。ムーブメントと人とが接する唯一の部品であるだけに、その巻き心地と操作感はとても重要。1946年に生を受け、1960年代に生まれ変わった1215。さらに、2019年にビッグベアーですべてに手が入り、次世代へ受け継がれる品質の製品にまで昇華しました。毎日使用できる1215をご希望でしたら、迷わずこの個体を選んでいただきたい。



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2019年8月4日日曜日

デラックスの中でも特に人気の高いライン・ダイアル・モデル


生れたままの美しさがここに

この写真を撮影したのはPM5:30頃。そして夕方の斜光線を逆光で受け、レフ板は使用せず回り込んだ光のみを活しています。手持ち撮影のためISO感度は400で、レンズは50mmマクロをf2.8の開放、そして+0.7補正です。そのため文字盤やケースは実際の色よりも赤みが少々強く撮れていますが、このデラックスの持つ柔らかな印象は良く伝わるのではないかと思います。まるで、昨日、スミスのチェルトナム工場から出荷されたのではないかと思えるほどの美しさが隅々にまで及んでいます。こんなコンディションを英国人は「immaculate」と言います。それはミントやアズ・ニューを超えた最上級の形容のしゃれた言葉です。

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■繊細なロゴマーク
ルーペを使用しても、ここまでロゴマークを拡大することは難しいことですが、文字盤の状態がいかに良いかを知ることが出来ます。また、スミス社の技術力の高さも同時に知ることが出来るでしょう。





■細部に至るまで美しい文字盤
ミントコンディションと呼ばれる時計であっても、50年以上の年月を経過した個体は文字盤の隅などに微かなクスミなどが現れるものです、しかし、この個体には、そんなエイジングが全く見られないと言えるほどに細部までもが美しく保たれています。



■スモセコには整然と同心円の地紋が
メイン・ダイアルのホリゾンタル・ラインとは対照的にスモールセコンド・ダイアルには同心円の地紋が規則的に刻まれています。その繊細なラインは不均一でナチュラルな堀の深い水平線が刻まれた主文字盤のデザインを引き立てています。




■エレガントなラグのライン
一見シンプルで力強い印象を与える、このデラックスのラグ・デザインですが、サイド・ビューは繊細でエレガントなラインであることが分かります。こんな奥深いデザインスもこのデラックスの普遍的なも魅力の一因と言えるでしょう。




■裏蓋のイングレーヴィング
9金無垢ケースのこのモデルは、ほとんどがBRITISH RAILWAYのプレゼンテーション・ウィッチとして使用されていました。この個体も例外ではなく極めて魅力的な刻印が刻まれ、このモデルの個性となっています。




■裏蓋内側のホールマークス
オーナーが裏蓋を開ける機会はまずありませんが、内側にはいくつかの刻印があります。左から9金無垢であることの証である「9」と「375」そして「k」はイヤーマークで1965年製造を表しています。その右はライオンの顔で、金製品製造の際に、ロンドンの税務署が納税を認めたことを表しています。


■後期型15石ムーブメント
このデラックスに搭載されているムーブメントは15石の中でも後期モデルで振り子の軸受けにショックプルーフ機能を備えており、それまでの1215Cタイプムーブメントを上回る精度と耐久性を得ています。





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2019年8月3日土曜日

英国の美意識が宿るミリタリー


最も美しいミリタリー

スミス専門店であるウォッチギャラリー・ビッグベアーへいらっしゃるお客様には、様々な時計を愛用した末にスミスを選ばれるという方が多くいらっしゃいます。それはミリタリーについてもいえることで、IWC、ハミルトン、エルジン、オメガ、ウォルサムなどのミリタリーをお持ちで、最後にたどり着いたミリタリーがスミスだったということでご来店いただくといったことがございます。それはスミスが持っている、ミリタリーであっても妥協することのない英国らしさを最大限に引き出した美しいデザイン性にあると言って良いでしょう。機能性だけに留まらなかったバランスの良いデザインが、世界で最も美しいミリタリーを生み出したのではないでしょうか。

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■英国らしい気品こそが魅力
質実剛健と言われる英国製品のデザインには機能美だけではない、気品という最も表現することが難しい要素が含まれています。たとえ、それがミリタリーというジャンルにおいても、手を抜かずに製品に注ぎ込んだ結果が、この美しすぎるミリタリーを生んだのだと解釈できます。


■機能性がグッドデザインを生み出した
スミスのミリタリーには、潔い機能性を追求したデザインの中に、思わずはっとさせられるような美しさを感じることが出来ます。それは、トータルにバランスした、一目で感じ取れる全体の美しさだけに留まらず、細部の繊細なラインや竜頭のデザインにおいても言えることなのです。



■裏蓋の刻印はオフィシャルの証
スクリュー式の裏蓋には本物の軍用モデルであることの証が刻まれています。ブロード・アローの矢印をはじめシリアルナンバーや発行年まで、様々な情報が刻まれています。また、防水、防塵機能も当時としては一級品です。




■裏蓋の内側にある丸い窪み
SS製の裏蓋の内側には同心円の溝と共に中心に円形の窪みがあります。これは、次の写真に写されているダストカバー(防塵用の蓋)にある中央の突起と重なりムーブメントをしっかりと固定するための構造です。この機構により通常使用されているネジ2本を省くことを可能にし、トラブルの要因の軽減に役立っています。





■熟成されたムーブメント
このミリタリー腕時計に搭載されているムーブメントは、後期のアストラルにも使用されていたハック機能付きのスーパークウォリティー・キャリバーです。竜頭を引くと振り子左側に見える、極めて細い針のように見えるアームが回転する振り子を抑え、停止させることで時計の動作を止めることが出来ます。


■最後の英国製17石ムーブメント
このムーブメントは、長いスミスの歴史の中でチェルトナムで製造されたハイクウォリティー・キャリバーの最終モデルとなった、最も熟成されたメカニズムと言えます。このモデルの後継はスイス製の17石、アストラルに搭載されました。




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