2018年6月18日月曜日

1965年の金無垢ブルースチール・デラックス


金無垢、スモセコ、そして、ブルースチールハンズ

1950年代末期から1960年代中期にかけて生産されていたこのデラックス・モデルはその時期により様々なマイナーチェンジが行われていたとはいえ、一貫して、金無垢、スモセコ、そして、ブルースチールハンズは共通の魅力として引き継がれていました。さらに、このトラディショナルで安定した人気を得ている要素としてゴシック体のアラビア数字を忘れることは出来ないでしょう。特にこの最終バージョンに関しては、アラビア数字にまで光が当たるとブルーに輝く表面加工が施されていることは特筆に値することでしょう

光を文字盤の正面に受けなければ、3針、アラビア数字共に黒く落ち着いた表情を保つこのモデルは、基本に忠実な伝統的でスミスらしいデザインが与えられています。まさにスミス・デラックスの代表的な魅力溢れるモデルと言えるでしょう。




外径30.8mmというメンズ・ウォッチとしては小ぶりなデラックス。現代の時計のように大きい方が魅力が増すといった考え方は微塵もなく、逆に小さいことにこそ、精密さや、技術力を感じさせてくれる、腕時計本来の小宇宙といった概念や神秘的な魅力を表現した結果と言えるでしょう。



最も光を受けた11~1時のアラビア数字がわずかに青く光を放っているのが分かるでしょう。それに加えて見事なメタリック・ブルーに美しく輝く3針は見事としか言えないこのデラックスの個性です。鉄の針を焼き入れして、この均一な青色を作り出すとは、当時の高い技術力に感心させられます。


レンズとベルト、そして竜頭はオーバーホール時に新品交換されています。使用頻度が少なかったとはいえ、これらの消耗品は経年により、レンズは縮み、ベルトは草臥れ、そして、竜頭はエッジが丸くなり巻き辛くなっていました。新たなオーナーの方は、気持ちよくお使いいただけることでしょう。


スモールセコンドの下には繊細な書体でプリントされたMADE IN ENGLANDの文字が誇らしく鎮座しています。これは、ウェールズ製の廉価モデルではなく、イングランド、チェルトナム工場でコストをかけて生産された証です。




多くのスミス社製金時計がそうであるように、9金無垢ケースの裏蓋には、プレゼンテーション・ウォッチの証であるイングレーヴィングが施されています。この個体には英国の国鉄が41年間務めた社員へ贈った品であることが刻印されており、このアイテムの大きな魅力となっています。



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