2023年4月11日火曜日

  スミス専任時計師のウォッチギャラリー・ビッグベアー店主、大熊 康夫のブログ

「生まれたての美しさ」

~驚愕のコンディションのデラックス入荷~



デッドストックに匹敵する美しさ

先日、英国より入荷したこのデラックス。まるで先週、スミスのチェルトナム工場から出荷されたばかりと思えるほどの美しさを保っています。

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英国より到着した時は、この姿

残念ながら、ベルトは付属していませんでしたが、レンズや竜頭までもが、すべてオリジナルの部品で構成されています。




本リザード革ベルトを装着

さっそく、オーバーホールを行い、同じく英国から届いたばかりの新品の本リザード革ベルトを装着しました。




分解時に分かったことは、一度だけの整備履歴

極めて状態の良いこのデラックス。使用頻度が少なかったため、ムーブメントの状態も新品同様のコンディションです。さらに、裏蓋の内側には一度きりのオーバーホール履歴が刻まれていました。

動力ゼンマイなどの消耗部品の交換。そして、スミスの欠陥部品であるボルトスプリングを対策部品へ交換。さらに、徹底した整備を行ったことで、工場出荷時の精度と、当時以上の耐久性を手に入れています。




組み上がった新品同様の17石ーブメント

分解、洗浄、注油、そして、消耗部品などの交換を終えて組み上がった17石ムーブメント。表面には、美しくフロステッド・ギルト加工が施されています。

スモセコ用の15石に改良を加え、センター・セコンド用の17石となったことが、一段増えたムーブメントの構造からお分かりいただけることでしょう。




エイジングの見られない美しい文字盤

使用頻度が少なかったとはいえ、ここまで美しい姿を70年近く保ち続けてこれたのは奇跡といえるでしょう。

入荷数の多い専門店だからこそ巡り合うことの出来る貴重な極上の一本です。




その美しさは、スミス本来の魅力

長い歳月の末、エイジングを身に着けた佇まいを楽しむことは、ヴィンテージ・ウォッチならではの楽しみといえるでしょう

一方、このデラックスのように、生まれたままのスミス本来の状態を手に入れることで、徐々にエイジングを味わって行くことは、願わくば叶えたいこの上ない贅沢といえます。





様々な表情を持つ、このデラックス

このデラックスの文字盤には、マットな地盤に多様なデザインが施されています。浮彫のアラビア数字、中央に刻まれた地紋、その間には金のドットが散りばめられ、秒針先端にはスミス特有のレッド・アローが輝きます。

それらは、受けた光の種類により様々な表情を生み出し、全体的には地味なデザインといえますが、奥深く気品漂う英国的な味をお楽しみいただけます




まるで金無垢のような滑らかさ

真鍮にゴールド・プレーテッドが施された、このデラックスのシンプルなケース・デザインからは、まるで金無垢ケースのような美しい滑らかさを感じ取ることが出来ます。

美しい状態を保ってきた驚愕のコンディションは、70年近くが経過した1950年代当時、そのままです。




差し色となる秒針のレッド・アロー

このデラックスにも、スミスのセンター・セコンド・モデルに採用されていた、秒針先端のレッド・アローが施されており、シックなトーンの文字盤の差し色となっています。




ここまで拡大すれば分かるベゼルのエクボ

ケースには微かな使用キズが見られますが、それらのほとんどは、ルーペなどで拡大しなければ、分からないもの。

そんな使用キズの中で最も大きなサイズなのは、ベゼルの2時付近にある、わずかな窪みです。しかし、この窪みですら、肉眼では見つけることが難しいサイズです。




このデラックスは、長くご愛用いただける方に

新品に限りなく近い外観。そして、工場出荷時以上の信頼性を身に着けた、このデラックス。長くスミスを扱っておりますが、このモデルで、ここまでのコンディションの個体は初めての入荷です。

日常の時計として、安心してお使いいただけるのはもちろん、1950年代にタイム・ワープして、新品のスミスを手に入れた気分で長くご愛用いただける方のお手元に届いて欲しいいデラックスです。

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