2018年1月17日水曜日

英国の自動車メーカー、オースティン社のスミス・デラックス


オースティン社が社員へ贈った金時計

デラックスのハイエンドモデル
スミス・デラックスの中でも特に高級品とされていた9金無垢ケース・モデルは、英国の大手自動車メーカーのプレゼンテーション・ウォッチとして使用されていました。





オースティン社の金時計
1905年創業の自動車メーカー、オースティン・モーター・カンパニーは、創業50周年の1955年に勤続25年以上の社員へスミス・デラックスの金時計を社員へ送りました。金無垢ケースの裏蓋には、オースティン社の刻印が入っているため、英国車愛好家のコレクターズ・アイテムとなっています。


W. F. SMITHの刻印
これは偶然ですが、このデラックスはオースティンの社員であったW. F. SMITHさんに贈られたことが裏蓋の刻印からわかります。オースティンとスミスの愛好者にはこの上ないデラックスと言えるのではないでしょうか!




BWC社製の3ピース式ケース
このデラックスのケースはBWC(ブリティッシュ・ウォッチ・カンパニー)社のもので、デニソン・ケースと並び極めてクウォリティーの高いケースと言えます。ベルトを止めているラグ部分は、このケースの大きな特徴で、美しいラインの逞しいデザインが優美さと力強さを感じます。



高いオリジナリティー
このデラックスは、レンズとベルトが新品交換されていますが、竜頭を含めほとんどすべての部品が新品当時のオリジナルで構成されています。文字盤の微かなエイジングやケースの小キズはありますが、極めて状態の良い個体と言えるでしょう。




ホールマークから分かること
金無垢ケースの裏蓋を開けると、その内側には幾つかの刻印があります。これらをホールマークと呼びますが、ケースメーカーであるBWCや製造された年式などが分かります。「9」と「375」はともにこのケースが9金無垢であること、、また、城のマークと筆記体の「y」から1954年式であることがわかります。


美しさと精度を保ったムーブメント
ほとんどエイジングの見られない、この15石ムーブメントは、当時のスミス・デラックスのクウォリティーを保っています。平置きで、電子計測器で測定しますと、一日の誤差は+10秒と当時のロレックスに匹敵する数値を示しています。





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2018年1月15日月曜日

デニソンケースの1215後期モデル


毎日使える1215モデル

スミス社製腕時計の戦後最初期モデルである1215は後のデラックスやアストラルなどとは異なり「コレクションには良いが実用には信頼性が今ひとつ」という声を聴くことがあります。確かに1940年代の1215初期モデルに搭載されていたムーブメントは、消耗の早い部品もあり使用するのに気を使うことがあるのも事実です。1950年代には1215モデルに多くの改良が加わり信頼性、耐久性の向上したアップグレード・モデルが登場しました。

信頼性の上がった金メッキ・キャリバー

最初期のニッケルメッキのムーブメントは見た目の美しさは素晴らしいのですが、耐久性に関する弱点がありました。この金メッキのムーブメントになってからは改良がくわえられ一気に信頼性が向上し、毎日使用できる個体が増えました。


SMITHSのみのロゴが味わい深い

1215モデルの文字盤にはモデル名がありません。銀色のアルミ製盤面に極めてシンプルなロゴやアラビア数字、インデックスがプリントされて、ブルースチール針がその個性を引き立てています。最初期の1215は文字がプリントではなく、戦前の懐中時計同様に手書きのものが存在していました。

SS素材を採用して剛性をアップ

クロームメッキの3ピースケースは本体が真鍮にクロームメッキ。そして、ベゼルと裏蓋はステンレス・スチールが採用され剛性を保っていました。最初期の1215には真鍮製のベゼルが使われており、変形しているものが多かったようです。




工作精度の高いデニソン社製ケース

この1215のケースには裏蓋の内側に刻印のない製品とこの裏蓋のようにDENNISON社の刻印が施された製品のふたつがありす。どちらも外観は一緒で見分けがつきにくいですが、刻印ナシのケースは工作精度が低くレンズの取り付けなどに問題があります。

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2018年1月13日土曜日

1/5秒インデックスがスポーティーな味付けのデラックス


センターセコンドならではの魅力を楽しむ

1950年代後期に生産されたと思われるこのデラックスには、とても珍しい1/5秒刻みのインデックスが施されています。これは当時よりクロノグラフなどのストップウッチ機能付きの時計に見られる表記ですが、レッドアローの秒針とともに、センターセコンドならではのスポーティーな演出で、心をくすぐられるデザインと言えるでしょう。


ベゼルと本体が一体式となった2ピース・クロームメッキ・ケースはシンプルで美しいラインが魅力ですが、よく見るとラグへ続く側面には削り出しのヘアラインが施されており、ここにもスポーティーな味付けを感じることが出来ます。




この17石センターセコンド用27.CSキャリバーには写真でご覧いただけるように、振子の軸受にショックプルーフ(耐震機構)が組み込まれています。スプリングで軸受の一部のパーツをホールドして衝撃を吸収するという画期的なアイデアで、この方法はこの時代に生み出されましたが、現在の機械式時計にも使われている普遍的な技術と言えるでしょう。

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2018年1月12日金曜日

真珠のように美しい文字盤を持つスモセコ・アストラル


パール調の文字盤が魅力。スミス・アストラル

1960年代のアストラルには、パール調の美しい文字盤が特徴のアストラルがあります。アストラルとは日本語に訳すと星の煌きという何とも美しい言葉ですが、そんなネーミングのイメージにぴったりなモデルは、まさにパール・ホワイトの文字盤が魅力のこのアストラルではないでしょうか。

光の当たり方で、微妙に表情を変えるこの文字盤は、真珠のような美しさがあります。シンプルで上品、繊細で可憐…。そんな文字盤にはスリムラインの薄いケースが似合います。





スモールセコンド文字盤にはよく見ると、同心円が刻まれ、シンプルなアストラルに繊細な雰囲気とヴィンテージウォッチらしいトラディショナルな味わいとが加えられています。






ムーブメントにはエッジ部分を削り落とし、より薄いケースに対応したハイクウォリティー15石キャリバーが搭載され、その動作にも繊細さを感じ取ることが出来ます。






この個体にはベルトにドイツの名門ベルト・メーカー、スペイデルが装着されており、リアル・リザード革の上質な表皮との相性も抜群で、アストラルの魅力を何倍にも引き立てています。金具に入った刻印は品質の証です。






スペイデルのベルトは当時スミスが純正使用していたわけではありませんが、オプション設定されていたブレスレットは、このスペイデル社製とアメリカのフィクソ・フレックス社製の物が採用されていたこともあり、スミスとスペイデルとの相性は抜群と言えるでしょう。




また、このアストラルには、日本で入手が難しい17mmサイズのベルトが純正サイズですので、この本リザード革製ベルトはジャスト・マッチングと言えるでしょう。







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2018年1月10日水曜日

ホリゾンタル・ラインのデラックス


スミスの定番、スモセコ・デラックスのライン・ダイヤル

文字盤に彫の深いラインが刻まれたスモール・セコンド付のデラックスは、デラックスの中でも特に人気のあるモデルです。1964年生産のこのモデルには、見た目の魅力だけではなく、ショックプルーフ機能付きの15石、ハイクウォリティー・ムーブメントが搭載されており、1950年代のモデルと比較すると、信頼性が圧倒的に向上しました。アストラにもよく見られるアラビア数字の書体と楔形のインデックスにより、洗練されたモダンな雰囲気の味付けが施されていますが、ホリゾンタル・ラインとスモセコとの組み合わせにより全体的にはデラックスのコンセプトであるトラディショナルなデザインは守られています。

左の写真は裏蓋の内側に刻まれたホールマークという刻印です。上部のSCWはスミス・クロック&ウォッチ・カンパニーのマークで、下の四つの刻印は左から9金無垢、「375」は、24金の37.5%の意味で同じく9金無垢を表し、小文字の「i」はイヤーマークで右がライオンの顔のマークです。ライオンの顔は、ロンドンの税務署の意味で「i」との組み合わせで1964年製造であることがわかります。ホールマークは国が金、銀、プラチナ製品をメーカーが製造した年に、課税した際に納税の証として打刻したものですが、今ではアンティーク製品の年式を調べる際の重要な手がかりとなっています。

下に見える丸いリング状の部品が時計の心臓部である振り子です。振り子の中心に赤い十字架のようなパーツが見えますが、この部分は振り子の軸受です。赤い十字架のように見えるのは、実はルビー製の円形の軸受で、それをホールドしている真鍮のスプリングの形状により、まるで赤い十字架のように見えるのです。衝撃を受けた時、このスプリングにより軸受がショックを吸収して、軸の中でも、最も細い振り子の軸の破損を防ぎ、ショックプルーフ効果が生み出されています。

裏蓋には刻印が刻まれており、ブリティッシュ・レイルウェイズ(BR)が社員の勤続45周年の際に贈ったプレゼンテーション・ウォッチであることがわかります。BRは日本でいうJRのような鉄道会社です。





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