2019年7月2日火曜日

使い込まれて生まれた唯一無二の表情


エイジングの魅力

たとえば、鉄に焼き入れをすることで鮮やかな青を3針に色づける。これはメタリック・ブルーの塗料を施したものとは異なります。金属に熱を加えることにより現れる化学反応であり、戦前より伝わる伝統の技といえます。そんな伝統技術により構築されている、様々な時計の材質や表面処理は、時を重ねることにより、思わぬ表情を見せてくれるものです。それらは、使用する環境により様々なエイジングとなり、使い込まれたヴィンテージ・ウォッチならではの個性となるのです。

★この時計の商品ページはこちらから★


■シャープなエッジの青焼き針
金無垢ブルースチールの、スモセコ・デラックスといっても、その年代や生産ロットによって針の形状が大きく変わることをご存じでしょうか。このモデルにつけられた長短針は一般的なブルースチール、金無垢デラックス・モデルの丸みのある膨らみや軸付近のくびれなどのデザインとは、まったく異なるデザイン。峰の部分にシャープなエッジが立っており、軸を貫通するように反対側にもわずかに伸びているのがわかります。


■飾りっ気のないシンプルな秒針
6時の位置に掘り下げられたスモール・セコンド文字盤には繊細な書体の数字が上から60、15、30、そして、45とプリントされています。また、針は飾りっ気のない極めてシンプルなブルースチールの秒針が装着されています。




■スミスのオリジナルと思われる竜頭
竜頭は、数年前にオリジナル・オーナーがスミス純正と思われる新品部品に交換しているそうで、ギザギザ部分の摩耗はほとんど見られない良い状態を保っています。竜頭はベルトやレンズ同様に外装の消耗部品に数えられるため、オーナーがストックを持ち合わせていることもあり、このようなコンディションのものが付属しているのは幸運といえるでしょう。


■Made in Englandの意味するもの
スミスの時計の中には、このデラックスやアストラルなどの、ただしく整備を行っていれば半永久的に使用できる、イングランドのチェルトナムにあるスミス社の工場で生産されたもの。そして、エンパイアなどのウェールズの工場で造られた普及品とに大別されます。つまりEnglandと記載されているものは、チェルトナム工場で生産された高級品であるといえるのです。ウェールズ製はGREAT BRITAINと表記されます。


■英国の国鉄BRが社員へ贈った時計
このデラックスの金無垢ケースには、裏蓋に刻印が施されています。BRITISH RAILWAYSは日本でいうJRに匹敵する国営の鉄道公社で、退職の際に金時計を社員へ贈る習慣がありました。このモデルの90%以上はBR系の公社によって使われていたといわれています。これも、この時計のヒストリーといえるのではないでしょうか。



■裏蓋の内側の刻印 その1
金無垢ケースの裏蓋を開けると、その内側にはいくつかの文字が刻まれています。写真のSCWはスミス・クロック&ウォッチ・カンパニーのマークで、このケースが自社製品であることを示しています。






裏蓋の内側の刻印 その2
SCWの下に刻まれた文字は、左から、「9」「375」「h」「ライオンの顔」で、その意味するものは、「9金無垢」「24金の37.5%」「1963年製造」「ロンドンの税務所」となります。これらはホールマークスと呼ばれ、もともと金、銀、プラチナ製品を製造した際にそのメーカーは税金を課税され、納付されたことの証として税務署が打刻したものでした。今では製造年を知る手掛かりとなっています。


■整備された高品質ムーブメント
このデラックスには、高精度かつ耐久性に優れた15石ムーブメントが搭載されています。しかし、高品質といえども、古い精密機械ですので、オイル切れやゴミの侵入、金属疲労などによる部品の破損などがあれば本来の精度は期待できません。ウォッチギャラリー・ビッグベアーでは、すべての部品を分解して、点検し、消耗品の交換や各部の洗浄、注油を行い歩度の調整、動作確認を行った上で皆様にお届けしています。さらに一年間の動作保証をつけさせていただいておりますので、万一の時も安心です。



★この時計の商品ページはこちらから★