2019年7月5日金曜日

楕円形の前衛的なデザイン、Ellipse


先を見すぎたアバンギャルド

1930年代、トノー型のリストウォッチに採用されていたような、大きく、また、個性的なアラビア数字。そして斬新な形状の針とケース。これらは、クウォーツ、デジタル革命によって行き場を見失っていたスミス社のデザイン部門が模索の末に生み出した前衛的なスタイルといえるでしょう。当時としてはあまりにも先へ行きすぎていたこと、そして、日本製品の先進技術の陰に隠れてしまったために、陽の目を浴びることができなかったモデルのひとつと言うことができるでしょう。のちにスイスの奇才時計技師フランク・ミュラーのアイデアの基礎となっていたといえるのではないでしょうか。

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■スミスの歴史にとって重要な一本   機械式時計一筋に歩んできたスミスにとって、シチズンのクウォーツとカシオのデジタル技術は、全世界の時計メーカーにとってそうであったように、脅威以外の何物でもなかったはずです。そして、そんな中で生み出した一つの個性がこのEllipseであったといえる。


■新品同様のコンディション      金無垢ケース、文字盤、そしてムーブメント。そのどれをとっても使用感のほとんどない極めて美しい状態を保っています。おそらくは、デッドストックであった個体を、コレクターが使用せず保管していたものと考えられます。ケース幅は35.2mmと見た目のイメージほど大きくない、現代の時計とはだいぶ異なるスミス・サイズといえるでしょう。


■秒針を排した完璧なデザイン     小型のムーブメントを採用したことで、可能となった湾曲率の高い文字盤。この独特なデザインはアラビア数字のユニークで大きな書体と大胆な長短針同様に、この時計の重要なデザイン・エレメンツとなっています。


■Made in Great Britain       文字盤の6時の下にはMade in Great Britainの文字がプリントされています。この文字の意味するものは、ケースを除くほとんどの部品が英国内で生産されたこと。なおかつイングランドではない、恐らくはスミス社のウェールズ工場で生産されていたことが推測できます。なぜなら、スミス社のチェルトナム工場で生産されたものであれば、Made in Englandとプリントされるはずだからです。


■スイス製のケース          ケース裏蓋には、裏蓋の材質がステンレススチールであること。また、スイス製であることが刻印されています。恐らくケース本体は、真鍮のベースメタルに金メッキが施されてた仕様であると思われます。


■裏蓋表面の美しさ          裏蓋の表面には美しいヘアライン加工が施されており、かすかな保管キズが見られるのみで、この個体がほとんど使用されていなかったことがわかります。


■レバー式ムーブメント        ムーブメントには決して高級時計のそれではありませんが、全くと言ってよいほど使用されていない、消耗の見られないレバー式キャリバーが採用されており、極めて良い状態を保っています。


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