2022年11月9日水曜日

   スミス専任時計師のウォッチギャラリー・ビッグベアー店主、大熊 康夫のブログ

~時計師の仕事場 #0022

「スミスは英国のバランス感覚」 

1959年青焼針のデラックス金時計 SALE!!


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優れた英国製品には、そのデザインにおいて固有のバランス感覚が存在します。それはスミスにおいても例外ではありません。

とくに、この青焼針の9金無垢デラックスにおいては、それが顕著に表れていることが、はっきりとわかります。

なんとも美しい佇まいのこのデラックスには、もちろん伝統的な手法であるブルースチール・ハンズやスモール・セコンド・サブサイダリー・ダイアルなどが、効果的に採用されていることによるところが大きいと言えるでしょう。

しかし、最も重要なのは、それらの魅力的な要素が、バランスよく配置されデザインされていることに他なりません。





「完璧に調和した文字盤のデザイン」

文字盤のデザインを色彩に惑わされることなく設計という観点から考察するために、画像の色を取り去り、1950年代に文字盤の設計士がドラフターに向かった時と同じように、モノクロームの世界に足を踏み入れてみましょう。

通常、アラビア数字はやや大きめに、そして分刻みのインデックスに近い位置に配置されるでしょう。しかし、このモデルの場合、あえて小さめな数字とし、分刻みのインデックスとの間に適切なスペースを与えています。

つまり、本来存在している12個のアラビア数字は、必然的に中央によって配置されることになります。その結果、スモセコ・ダイアルは、切削加工により6のすべてと、5と7の数字を一部削り取ることになります。

このことは、一見、美しく並んだアラビア数字のデザインを壊しているように感じられるかもしれません。しかし、スモセコ・ダイアルが縮こまることなく文字盤の中に調和するという好結果を生み出しているのです。





「英国的な美学が凝縮されたマスターピース」

以上のデザイン的なからくりをご理解いただいた上で、改めて、このデラックスをご覧いただくと、この時計がいかに秀逸なデザインであるかをお分かりいただけることと思います。

小さな文字盤の中に散りばめられた、数々のデザイン・エレメンツのそれぞれがお互いを引き立てる距離感で配置され、伝統に裏付けられた上品かつ趣ある佇まいを構築しているのです。そこには、英国的な美学が凝縮されていることを見て取るこことが出来るでしょう。

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