2021年3月30日火曜日

 
~ビッグベアーのこだわり~
「グッド・エイジド」とは?
写真・文:大熊 康夫





■ビッグベアーのコンディション■

ウォッチギャラリー・ビッグベアーのスミス腕時計は、三つのコンディションに分類されています。そして、画像は各コンディションを示すアイコンです。


1. 未使用品の「デッドストック」


2. 新品に近い外観の「ミント」

3. 新たに誕生した「グッド・エイジド」





■「グッド・エイジド」とは?■

「グッド・エイジド」とは、簡単に言ってしまえば、雰囲気良くエイジングした外観に、ビッグベアーのノウハウが詰まったムーブメントを搭載した製品ということになります。もちろん3年間の動作保証が付いています。



一般的に、エイジングした時計は「ミント」よりも、遥かに低価格で、中身も各部が消耗しきっており、現状は何とか動作しても、長く使用するには、それなりの出費を覚悟しなければならない。そんな先入観があるのでは…。実際、そのようなスミスが世に出回っており、修理依頼を受けることは少なくありません。



消耗の激しい「エイジド」のムーブメントを工場出荷時の状態にまで修復することは、「ミント」に搭載されているムーブメントの修復とは次元が異なり、交換部品や手間も多く必要となるのです。



つまりビッグベアーが手掛けた「グッド・エイジド」は、予算が合わないため仕方なく手に入れる単にヤレたスミスとは、根本的に存在価値が異なっています。



それは、日常の道具として数十年間にわたり使い込んだことで生まれた美しい佇まいの時計。そんなスミスに惹かれた際、「ミント」のムーブメントに負けないクウォリティーを味わえるという贅沢でクールなコンディションと言えるのです。それがウォッチギャラリー・ビッグベアーが新たに提案する「グッド・エイジド」のスミスなのです。




©2021 Watch Gallery BIG BEAR




2021年3月23日火曜日

 「英国散歩」
スミスで、毎日を古き佳きイングリッシュ・タイムに
写真・文:大熊 康夫


■英国への憧れ■


何気なく過ごしている生活の中に、実は、西洋の、特に英国の文化が多分に取り入れられているもの。たとえば、クルマは左、人は右といった交通ルールは英国由来なのだ。それゆえ、英国の文化が知らずのうちに身につくことで、少なからず英国への憧れを持っているのではないだろうか。

それらは、音楽、ファッション、文学や美術など多岐に及ぶ。もっと身近な食生活に至っては、誰もが知っている紅茶や、ローストビーフ、ウィスキーなど例を挙げたらきりがない。

さらに、一つひとつの切り口には、とても幅広いジャンルや種類があり、また、奥深いヒストリーがあるという意味では、どれも趣味性が極めて高い。



■古いパブは、それ自体がアンティーク■

趣味性の高い、英国の嗜好品と言えば、ウィスキーを思い浮かべるかもしれないが、イギリス人の集いの場となっているパブでは、ビールが主流。アイルランドのギネスは良く知られた銘柄だが、英国を旅して、場所を変えれば、その数だけローカル・ビールを楽しめるほどポピュラーな存在。

英国の老舗パブは、そのほとんどがヒストリックな建物で、数百年前に建てられた萱葺屋根のパブまでもが存在する。英国では、歴史が深いほど、そして、天井が低いほど良いパブとされている。

天井が低いということは、それだけ古いことを意味している。つまり数百年経過してもリペアすることの出来る、しっかりとした基礎を持つコンストラクションが、良いパブの条件のひとつとなっているというわけだ。そんなパブに足を踏み入れると、彼らは「ウーン、ベリー・オールド…」などとつぶやき笑みを浮かべる。



■ヴィンテージカー趣味■

パブや民家などの建築物は、優れたデザインや由緒ある歴史から、古いが故の高い価値を生み出している。オーナーは修復を行ったり、実際に住むことで、良いものを継承するとともに、毎日の生活において贅沢な楽しみを味わうことができる。おなじような観点から、英国ではヴィンテージカーが身近な趣味の対象となっている。

よく英国人は、物を大切にして長年使い続け、決して捨てないと言われている。それは、ヴィンテージカーにとってもいえることで、大切にするということの意味は、常にピカピカに磨いてガレージに仕舞い込んでいるというだけではない。貴重なヴィンテージカーであっても、彼らは、道具として惜しみなく使って存分に楽しむ。動態保存こそが、英国流のヴィンテージカー趣味というものだ。

その代わりに、ドライビングを楽しんだら、しっかりと整備をして常に良い状態を保つことを怠らない。長く使うことを前提に設計された英国製の古い道具は、クルマに限らず、良いメンテナンスを行っていれば、いつまでも使用することが出来る。これぞ英国的な質実剛健といえるだろう。




■身近な英国製品である、スミスの時計■

さて、ここで、我らがスミスの時計の話となるわけだが、時計メーカーとしてのスミスの歴史は長く、派手さは微塵もないが、どこに目を向けても間違いのない飽きのこないデザインが英国らしい。そして、質実剛健を貫いた英国製ムーブメントからは、耳を澄ませば、リズミカルなチクタク音が聴こえ、静寂の一瞬に安らぎを与えてくれる。


デラックスやアストラルなどの長期間の使用を前提に造られた高級機には、高性能かつ耐久性の高いムーブメントが搭載されている。残念ながら、時計メーカーとしてのスミス社は現存していないが、ウォッチギャラリー・ビッグベアーでは、メンテナンスに必要なパーツの再生産を含めた、スミス専門店としてのノウハウを積み重ね、日常の時計としてのサポートに努めている。


英国に、そして、正しい道具としての時計に興味をお持ちならば、生活の中にスミスを加えてみてはいかがだろうか。毎日が、古き佳きイングリッシュ・タイムとなり、ファッションや食生活に留まらず、趣味の世界観や人生観までに、英国的な心の豊かさを与えてくれるはずだ。


そして何より、英国伝統の優れたデザインを纏った、本物の英国の道具を日常的に使いこなすという喜びは、筆舌には尽くしがたく、いわば、萱葺屋根のコテージや、ヴィンテージカーを手に入れたのと同じように、古き佳き英国、そのものを手に入れたかの如くである。


©2021 Watch Gallery BIG BEAR















2021年3月21日日曜日

「英国散歩」
デザインには、その時代が反映されている
写真・文:大熊 康夫


■ハーフティンバーのコテージ■

木造と漆喰によるハーフティンバーと呼ばれるコテージの起源は、15世紀後半からのチューダー朝に遡る。しかし、19世紀のヴィクトリア時代において、新しい技術や素材を投入し、
モダナイズされた建築への反発として、このようなチューダー様式のコテージが英国各地の、特にカントリーサイドに数多く建てられていた。



1968 Smiths Astral     1955 Smiths De Luxe

■デザインの方向性■

建物に限らず、革新を求めたり伝統を重んじることは、様々なプロダクツ・デザインに取り入れられることが多い。例えばスミスの時計であれば、左のアストラルは未来を見据えた新しいデザインであり右のデラックスは伝統を重んじた古典的なデザインと言えるだろう。

それでも、生産後、数十年を経た今、両者を眺めると。どちらにもヴィンテージ・ウォッチとしての味わいが、その佇まいの中に、それぞれの個性として、しっかりと感じられる。

その理由は、どちらもその時代においても、間違いのないデザインであったことに他ならないのだ。





■時代の見分け方■

では、ここで上級者向けの問題をひとつ。この、ハーフティンバーの建物は、どの時代の建造物であろうか?

ハーフティンバーということだけに着目すると、チューダー朝という答えが浮かび上がる。しかし屋根が茅葺ではなく、スレートであることを考えると…、いや、オリジナルはチューダーで、ビクトリアの時代に吹き替えられた可能性も…。

そこで着目していただきたいのは、この建物は、一階部分よりも、前面にせり出している分、二階の方が大きいこと。この建築方法は、ビクトリア時代の重課税から免れるため、一階部分の建坪を小さくした苦肉の策なのだ。当時、一階の建坪に応じて課税されており、背後の建築は、後に建て増しされたものと考えられる。

つまり、ビクトリア朝が正解。どんな、プロダクツにも、そのデザインには、時代が反映されているのだ。


「英国散歩」は、大熊 康夫が、1989年より古い英国車で、英国各地を訪れた際に撮影した写真で、英国の知られざる魅力を伝えて行く企画です。


©2021 Yasuo Okuma produced by BIG BEAR





2021年3月12日金曜日

「英国散歩」
ダートムーアのコテージ
写真・文:大熊 康夫


■数百年前と変わらない風景■

英国の南西に位置するデボン地方にダートムーアという湿原地帯が広がる地域があり、風光明媚な景色を作り上げている。石造りの古いコテージが点在する村の姿は舗装された道がなければ、数百年前の英国と何らかわらない。



■英国の湿原地帯■

湿原地帯の溝には清流がせせらぎ、放牧された羊が草を食む姿を見ることができる。牧草地のグリーンに足を踏み入れると、地面から水がしみ出て、湿原であることがわかる。




■羊を見張るための小窓■

小さく、また、厳しい風雨に耐える石造りの厚い壁。壁の窪みには小さな窓がはめ込まれていて、その昔、そこから放牧の羊を見張っていたとのこと。



■英国での贅沢な暮らし■

数百年も変わらぬ姿で、佇み続けている民家。こんな、茅葺屋根のコテージで暮らすことは、今では、最高の贅沢といえるだろう…。




「英国散歩」は、大熊 康夫が、1989年より古い英国車で、英国各地を訪れた際に撮影した写真で、英国の知られざる力を伝えて行く企画です。

©2021 Yasuo Okuma produced by BIG BEAR








2020年12月1日火曜日

3Years Guarantee
 for most smiths wrist watches


安心の3年間動作保証

ウォッチギャラリー・ビッグベアーのスミスには3年  の長期保証が付帯します
※ 4ビート懐中時計、ストップウォッチ、戦前製品は1年間、デッドストックは初期動作保証

伝統ある正しい英国製品には、長く使用することを前提とした間違いのないデザインと、質実剛健なクウォリティーが、備わっています。

そして、このことは、スミスについても例外ではありません。ウォッチギャラリー・ビッグベアーではヴィンテージ・アイテムだからという妥協はいっさい許さず、ムーブメントに対して新品の製品と同じように動作保証をつけています。





保証が意味するもの

■使うためのヴィンテージ・ウォッチ
当時、スミスの時計は時を知るための毎日使う実用の道具として生まれました。生産後、数十年が経過した今でも「その目的は変わらない」。


そのように、私どもは考えているため「新品当時以上の品質を与えられた個体であること」このことこそが、保証付帯の資格となります。

つまり、保証が意味するものは「当時の新品と変わらぬ品質」であると言えるのです。





短かったスミス社の保証期間

■スミス社が保証したのは1年間でした

写真は1954年製造のデラックスと保証書です。保証期間は「12 months」と記されています。高級時計に対する一年間の保証期間は現代の常識では少々短いと感じられます。

ウォッチギャラリー・ビッグベアーでは「デラックスなどの高性能モデルには3年保証」、「4ビート懐中時計や戦前モデルには1年保証」、「デッドストック品には初期動作保証」の設定を行わせていただいています。







タイムワープを楽しんで下さい


■新品をご購入いただいたつもりで

精度が悪い、壊れやすい、壊れたら直せないそんな、ヴィンテージウォッチに付きまとう仕方ないと思われていたことの全てを、ウォッチギャラリー・ビッグベアーでは払拭することに全力を注いでいます。
その時代にしかない伝統的なデザインや、機械式ならではの魅力を、思う存分ご堪能下さい。そして、現代の時計には劣る防水性や耐衝撃性の弱点さえも、数十年前のスタンダードと捉えタイムワープを楽しんで下さい。







快適に末永くご使用いただくために


■特性をご理解いただき快適に

古い機械式時計を楽しんでいただくには、その特性をご理解いただき親しんでいただくことが良い方法です。
現代の時計のように防水、防塵、耐衝撃性は残念ながら優れているとは言えません。しかし、逆に考えると丁寧に優しく接していただければ、電池の入らない究極のエコと言えるスミスは、竜頭をリズミカルに巻けば、チクタクと動き出し、実用に困らない精度で時を刻みます。
そして、あなたの人生にいつも寄り添ってくれます。





※動作保証の内容について

■3年間動作保証(腕時計)

安心してご使用いただけますように、ムーブメントに関しましてはお買上いただいた日より3年間の保証をつけさせていただいております。
パーツは充分にストック致しておりますが、場合によっては当時の正規パーツ以外での修理となることがございます。
なお、水分やゴミの浸入、衝撃を加えたりした場合、また、竜頭の巻過ぎ、分解などされた場合は保証の対象外となりますのでご了承下さい。



■1年間動作保証(懐中時計)

安心してご使用いただけますように、ムーブメントに関しましてはお買上いただいた日より1年間の保証をつけさせていただいております。
パーツは充分にストック致しておりますが、場合によっては当時の正規パーツ以外での修理となることがございます。
なお、水分やゴミの浸入、衝撃を加えたりした場合、また、竜頭の巻過ぎ、分解などされた場合は保証の対象外となりますのでご了承下さい。



■初期動作保証(デッドストック)

デッドストックであることと、完璧な動作を示すことで、こちらの製品はオーバーホールをさせていただいておりません。

お手元に届いた時までの初期動作保証のみとなります。

実用に使われるなどで、事前にオーバーホールをご希望の場合は、お申し付けいただければ19,900円にてオーバーホールを行わせていただきます。

※ダイバーズ・ウォッチやクロノグラフなどは、オーバーホール料金が異なりますので、お問い合わせください。












2020年5月31日日曜日

ブルースチール・ハンズ VS ゴールド・ハンズ


どちらのスミスがお好みですか?

スミスと言えばデラックス、そして、その中でも金無垢モデルは幅広い層に人気があります。ただ、デラックスの金無垢モデルには、よく見かける青焼されたブルースチール・ハンズや金メッキの施されたゴールド・ハンズのモデル、そして、デュオ・トーンや水平基調のライン文字盤など、さまざまなモデルがあり、どれもスミスらしさに溢れた個性を持っているため、どれを選ぶべきか悩ましいのではないでしょうか。今回は針の材質に焦点を当て、その魅力を比較してみました。


■個性的なブルースチールと落ち着いた美しさのゴールド・ハンズ■

現代の時計では、ほとんど見られない鉄を焼き、
メタリックブルーの表面を作り出したブルー・スチール・ハンズ。
光が当たると、まるでモルフォ蝶のようにメタリック・ブルーに
輝くその魅惑的な色彩は、実は戦前からある伝統的な技法。

対するゴールド・ハンズは、その美しさとケース、インデックス、そして、針が
ゴールドで統一された上品な美しさが、スミス・デラックスらしさとして、
販売が始まった1952年から終了する1960年代半ばまで、
常にデラックスのスタンダードを保ってきました。


■ベルトを支えるラグのデザイン■

ラグは時計にとってベルトを取り付ける、大事な機能部品であるとともに、
単調になりやすい時計のケース・デザインにアクセントを与える
自由度の高い装飾ともいえます。

左のブルースチールと右の金針のデラックスを見比べると
ブルースチールの曲線を多用しデザインに比べ、
金針はほとんど直線で構成されています。

優美で力強い印象のブルースチール、
そして繊細でシンプルな金針モデルと言えるでしょう。


■裏蓋のデザインの違い■

スミスの金無垢モデルには90%以上の確率で、
裏蓋に刻印が施されたプレゼンテーション・ウォッチです。
つまり、個人や企業から贈られた記念品としての時計であると言えます。

この金無垢デラックスも、
共に裏蓋には美しい刻印が刻まれています。

まずは、裏蓋の形状に目を向けてみると、
左はブルースチール・ハンズで、裏蓋はフラットな表面であるのに対して、
右のゴールド・ハンズは、裏蓋の鏡面が湾曲しており、
見比べると、それぞれ印象が異なります。


■ブルースチールの裏蓋にはBRの文字■

ブルースチール・ハンズの裏蓋にはBR、つまりイギリス国鉄の
プレゼンテーション・ウォッチであることを示す
美しい刻印が施されています。


■ゴールド・ハンズの裏蓋にはAustinの文字■

ゴールド・ハンズの裏蓋にはAustinの
プレゼンテーション・ウォッチであることを示す
美しい刻印が施されています。

どちらも、それぞれのデラックスの個性であり、
歴史を示す極めてシンボリックなイングレーヴィング
であると言えます。

これらの美しい刻印も
スミスの金無垢腕時計ならではの
美しさとして、また、ヒストリーであると、
認識していただきたい美点なのです。


■あなただったら、どちらを選ぶでしょう?■

今回のスミス・デラックスは、どちらもスミスらしい個性が際立ったデラックスと言って良いスミスの代表作と言えるモデルです。一瞥した時の印象は、ブルースチールの方が力強い印象であり、また、分かりやすい魅力であるため、選択が容易であるかもしれません。しかし、ゴールド・ハンズには第一印象が柔らかく優し印象であるため、その奥深い英国らしい気品や奥ゆかしさを、魅力として捉えるには時間がかかるモデルであるかもしれません。

■全く異なるモデルの中に多くの共通点が■

つまり、どちらを選んでいただいても、正統的な英国製スミスの王道であり、間違いのないデラックスであると申し上げられます。そして、お気づきの方も多いのではと思いますが、このふたつのデラックスのアラビア数字をご覧いただくと、書体が、全く同じとは言えませんが極めて酷似しています。さらに針の形状をご覧いただくと、材質と表面加工は大きく異なりますが、ほぼ同じ形状でありることがお分かりいただけると思います。

■ともにスミス・デラックスのスタンダード■

1962年と1954年。年式には8年もの隔たりがありますが、スミス社がこのふたつのデラックスへ注ぎ込んだ思いは同じスミス・デラックスのスタンダードだったのではないでしょうか。

★ブルースチール・ハンズのデラックスの商品ページはこちらから

★ゴールド・ハンズのデラックスの商品ページはこちらから






2020年4月28日火曜日

英国王室と関りの深かったガラード



共に時を刻みたくなる、美しいパティナが魅力のガラード

ガラードは、英国王室と深い関りのあったメーカーとして有名であることは言うまでもありませんが、この個体の最大の魅力は、正しく使われて来た道具だけが纏うことの出来る極めて美しいパティナであると断言できるでしょう。パティナとは、英語独特の言葉で、緑青という意味もありますが、年月を積み重ねてきた道具などの表面に現れる経年変化のことです。英国人は特に美しい佇まいとなった表情を"Lovely patina"と言って称賛します。この時計と共に時を刻みたいと感じられた方に使っていただきたいガラードです。

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■基本はデラックス
一見するとスミス社製とは思えない、ガラード。しかし、スミスを良く知る人であればこの時計のベースが、1950年代のスミス・デラックス初期モデルであることが分かるはずです。夜光塗料が施されたアラビア数字のインデックス部分の盤面が一段下げられた文字盤。そして、個性的なルミナス長短針のデザインは、まさにスミス・デラックス。



■各部に現れたパティナ

クロームメッキケースのラグ先端部分のメッキの擦れから現れた真鍮の地金。文字盤の日焼けによる美しいグラデーションのサンバースト・ブラウン。これらの、正しく使い込まれた個体にしか現れない美しいパティナは年輪を重ねてきたこのアイテム固有の表情と言えるでしょう。


■繊細な青焼針と夜光塗料との調和
光を当てて長短針をご覧いただくと、趣のある夜光塗料が施されている針が、繊細な縁取りを作り上げているブルースチール製であることが分かります。文字盤の夜光塗料のアラビア数字とのマッチングはもちろん、美しいグラデーションを見せるパティナとの調和は、正に時が生み出した奇跡と言っても過言ではないでしょう。

■英国製へのこだわり
戦後のスミス社はイングランドのチェルトナム工場でハイグレード・モデルを生産していましたが、英国の老舗ブランドであるガラードが、その生産をスミス社へ依頼した大きな理由がここにありました。やはり文字盤には"MADE IN ENGLAND"とあるべきなのです。

■希少な純英国ムーブメント
ムーブメントに誇らしく刻まれた"MADE IN ENGLAND"の文字。戦前のスミス社はその生産のほとんどをスイスのロンジン社へ依頼していました。しかし戦後、スミス社はスイス品質の時計を自国で生産することを理想とし、成し遂げました。スミス社は当時でも限られた純英国製の高品質時計メーカーであったのです。

■スイスの品質に英国らしさを
戦前より設計を開始して、戦後に完成を見た腕時計用高性能ムーブメントが1215でした。このガラードに搭載されているキャリバーは1215の後継である初期のCタイプ・キャリバーです。ジャガールクルト社からスミスへ移籍したロバート・レノア氏が英国のデザイン・エッセンスを投入して設計した名作1215の欠点を払拭した、完成度の高いムーブメントと言えます。






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